第34話 ソンジュのたくらみ!
今回の『愛の逃避行』の主役の座をかけて熾烈な争いが続いている。
……と言っても一方的にソンジュが仕掛けて『愛の逃避行』の主役の座を奪おうとしているに過ぎないのだが……?
スホもパチンコ大手の御曹司だが、全く親の権力と財力は当てにはならない。
それどころか「跡継ぎの長男が畑違いの仕事で海を越え韓国に永住するなど絶対に許せん!」父は今尚徹底抗戦の構えなのだ。
その為反対に足を引っ張られるぐらいなのだ。
だから、韓国最大級の菓子メ-カ-韓国財閥最大手『バ-ン★チョコレート』の御曹司ソンジュに盾突こうものなら大変な事になる。芸能界追放の憂き目にあう可能性も、十分に考えられる。
【この(バ-ン)という社名には『永遠の恋人』と呼ばれる若き日のオードリ―・ヘップバーンにちなんで、いつまでも人々から愛される存在でありたいという思いが、込められている。】
だからスホは恐ろしくてソンジュには何も出来ない。それを良い事にやりたい放題。側近にスホの身辺調査を調べさせて、ありとあらゆるスホの醜汚を、雑誌に垂れ込ませている。
スホの人気は一気に急降下、今スホは人生最大のピンチに立たされている。
「フン!ざま~見ろ!この財閥の御曹司ソンジュ様を主役の座から引きずり落そうなどとは、100年早いわ!」
全く呆れた男。演技力も中途半端、ルックスもそこらへんの若者達と変わらない、ありふれた顔。この自信は一体どこから来るものなのか……。
ソンジュのせいで、スホの醜汚は韓国中に知れ渡っている。
会社側も「こんな状態であの大ヒット作『愛の逃避行』をスホにさせる訳には行かない!」もう観念してソンジュにとの方針転換で動き出している。
「スホさん、北朝鮮の女帝久美子にして北の悪魔久美子の隠し子だと言うのは、本当ですか?ハッキリファンに真実を公表して下さい」
「…………」
「親子以上も年上の女社長のパトロンがいて、10年にも及ぶ蜜月の日々を送っていたと言うのは、本当ですか?はっきり言って下さい。これではファンが納得しません」
「…………」
「ミレ自動車社長御令嬢と交際中と言うのは本当ですか?二股かけていたのですね?」
「…………」
矢継ぎ早の芸能レポ―タ―からの質問に、揉みくちゃにされているスホは、あれだけの人気を誇ったにも拘らず、今は人気も急降下。
只の晒し者で、普通の恋愛が出来ないマニアックな中年女にしか欲情しない、変態扱いをされている。
そんな時に、芸能界のドンとの呼び声の高いドラマのプロデューサーにして作家のペ・ウンホが、芸能界の一大事に異を唱えた。
「どんな人間にも裏の顔はあるだろう。100年に一人の逸材をこんな事で、易々闇に葬るなど絶対あってはならぬ事。何もあんな何の取り柄も無いイ・ソンジュにビクビクして、言いなりになる必要は無いだろう。バックが大きくても、たかが知れている。だがスホは世界中にファンが要る。あんな問題児のソンジュなど芸能界から追放しろ!」芸能界のドンからの容赦ない鉄拳。
それでもソンジュは自分を過信し過ぎている。
(俺を抹殺出来る人間などどこにもいない。居る筈がない!俺を誰だと思っている。バ-ン製菓の御曹司。バ-ン製菓は中国と日本にも工場が有り、その売り上げは絶大なものだ。俺を失えば芸能界も大打撃だ。フン!俺を首に出来る奴など絶対にいない!)
そんな親の七光りに胡坐をかき切っていたソンジュはある日。
「韓国芸能界を舐めて貰っちゃ困るね。今までの悪態ぶりには我々も、もう我慢が出来ない。韓流スターきっての人気者スホ君の悪口を、芸能記者に垂れ込んだのは君だろう?何故そんな事をしたんだ?ソンジュ君には親が付いているかもしれないが、芸能界は小手先では通用しないんだ。世界中にファンを持つスホ君に、君なんかが太刀打ち出来ると思っているのか?馬鹿が!お前なんかクビだ————!」
こんな言葉が返ってこようとは努々思わなかったソンジュは、余りのショックに「ウゥゥ( ノД`)…ワァ~~ン😭ワァ~~~ン😭」その場に泣き伏した。
我がまま放題だったソンジュは、まさかこのような展開になるとは、夢にも思っていなかった。
今までのように、「金銭面と視聴率では散々お世話になっている『バ-ン製菓』のご子息様のご意向にそぐわない事をいたしまして誠にすみません。やはり主役はソンジュさんでお願いします」この言葉を待っていたのだが……?
(エエエエ————ッ!芸能界追放だと————?俺は絶対嫌だ!この華やかな世界から身を引く事など出来ない!)
「ウウウ(´;ω;`)ウゥゥワァ~~~ン😭ワァ~~~ン😭」自分がこんな目に合うなど努々思わなかったソンジュは、余りの出来事に只々泣くばかり。
あれだけ悪評を立てられ、韓流スターとしての存続も危ぶまれたスホだったが『愛の逃避行』の人気は、欧州や東南アジアなどで火が付き、あっと言う間に世界を席巻した。
韓国事情をあまり知らない、他国の噂に疎い国々であれよあれよと人気に火が付き、圧倒的な人気を誇り空前の大ヒットとなった。
そして…あれだけ散々足を引っ張ったソンジュだったのだが、自分の分をわきまえ、最近は脇役に徹している。
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