プロポーズされちゃいました!?

「はぁ~~結局あの人は変わらなかったな……」

部屋から出て一人呟く。

昔から私の事を聖女としてしか見ていなかった。

私がどんなに努力しても認めてくれなかった。

あの人には力がないから……私の力を感じることはできないし、いくら私の力が

強いんだって言っても見えないから、嘘つき扱いされたっけ…

私だけならいいけど、他の聖女に対しても嘘つき集団だとか言ってたこともあった

けれど、私は聖女。

いつも笑顔でいるように心掛けていた。

だって、私が笑えば笑う程、周りの皆も笑ってくれるし、幸せになれるって言っていたから。

けれど、あの人は笑わなかった……

「これからどうしよう、とりあえず家に帰ろうかな…」

お母さんやお父さんに会いたい。

きっと心配してるよね……

それに、兄さんにも会いたい……でも、王子と婚約破棄した私と会ってくれるのかな…

そう思いながら王宮の廊下を歩いていると前から誰かが近づいてきた。

顔を上げるとそこには、銀髪の髪をした美しい男性がいた。

「あれ…ルーク…?」

「こんにちは、今大丈夫ですか?」

「えぇ……でも、どうしたのですか?ルークがここに来るなんて珍しい…」

「ルカが婚約破棄したと聞いたので、来ちゃいました」

そう言って微笑む彼はとても美しかった。

そして、どこか悲しそうな表情をしていた。

私はそんな彼を見て首を傾げることしかできなかった。

―――どうして彼が悲しい顔をするのだろう……? そう言えば……初めて会った時も、同じ様な表情をしてたような気がする……。

気が付くと私は泣いていたようで、頬に涙が流れた跡があった。

すると、彼は自分の服で優しく拭いてくれた。

「……アルマ様はずっと私の事を見てはくれませんでした……」

「うん……」

「好きだったんです……昔から……だから…っ、アルマ様にも笑ってほしくて

……でも、っ、あの人は私の事をずっと噓つきだって…っ」

「そっか…………大丈夫……泣かないで…」

そう言いながら頭を撫でてくれる彼の手はとても暖かかった。

私はその優しい手に甘えて泣き続けた。

どのくらい時間が経っただろう。

暫くすると、落ち着いたので私は彼と話をすることにした。

そして私は彼に全てを話した。

聖女が来たから私はいらなくなったと言う事、けれど教育係が必要だから

この関係は続けて、聖女が育ったら婚約解消すると言われたこと…

私の話をルークは何も言わずにただ、うんうん、と相槌を打ちながら聞いてくれた。

「ルークごめんね…」

「いいんだよ、俺はルカの悲しそうな顔は見たくないから」

「…ありがとう」

ルークはとは小さい頃からの付き合いで、私がアルマ様と出会う前まではずっと一緒にいた。

彼は、私の表情を見て私が思っていることを理解してくれたっけ…

そして私の前ではずっと笑顔でいてくれた…私はその笑顔に何回も救われていた。

「ルークは優しいね、ルークと結婚できる女の子は幸せだろうなぁ…」

「だったら、俺と結婚する?」

「え?ルーク冗談はやめてよ~」

「冗談じゃない、俺は昔からルカの事が好きだったんだ。だから今回の婚約破棄を聞いてチャンスだと思った」

「ねぇ……ほんとにやめて……?」

「やめない、俺はルカが好きだ。」

「ルーク……」

「……俺と結婚してください!」

そう言って真剣な眼差しでこちらを見る彼を私は直視出来なかった。

だって……そんなはずない……こんな私を好きな人なんて…

「私……でいいの……?」

「ルカがいいんだ、ルカ以外は考えられない」

「ルーク……私婚約破棄されるような人なんですよ?噓つき聖女なんですよ?そんな人間といたらルークまで

噓つきにされちゃう……」

「大丈夫、俺はルカが嘘つきだなんて思ってない。あのバカは力がないから知らないのかもしれないけど

俺はルカがどんなに素晴らしい聖女なのか分かってる。ルカには及ばないけど俺も力があるからね」

「えっ!?そうだったの……?知らなかった……」

「ははっ、バレたくなくて力で隠してたんだ。でも、ほらっ、今なら分かるだろう?」

そう言ったルークの周りはキラキラと光り輝いていて、確かに力は小さいけれど

暖かくて優し光……まるで、ルークの様……

「本当に私でいいんですか?」

「ルカがいいって言っているだろう?」

「ふふっ、そうでした……改めてよろしくお願いいたします、ルーク様」

私がそう、返事を返すとルークは、ぱぁっと弾けた笑顔を見せてくれた。

まさかこんな事になってしまうなんて……

これから私どうなっちゃうんだろう、でも……笑顔のルークを見て、いろんな考えは吹き飛んでしまった。

今度こそ幸せになってやる!

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