夏空を総べる彼女の翼には。

時雨 紫雨

1章 出会い、そして導き

第1話 プロローグ

どうしてこうなってしまったのだろう。

私があの力を使わなくなってからもう二年。

最初の頃は、はしゃいで飛び回っていたのにいつの間にかマイナスな方向へしか考えられなくなっていた。自分でも何回飛んだか分からないほど楽しかったことを覚えている。

私のこの『能力』他の人とは違う特別な力。

それがきっかけで見えない壁を作ってしまっているのも理解している。

小学生の頃はよく友達と一緒に遊んだな。

この『翼』で。



それでも、彼だけはわかっていてくれた。あんな選択をしても、ただ、許してくれた。

もう一度だけ言おうかな、あの時のお返しってことで。そうして私は声に出したんだ。

「好きだよ。」

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