第64話 天然の恋(七)
雨上がりの青空は、その時の少女の気分と同じくらい晴れ渡っていた。
雨に濡れた空気が早春の清々しさに包まれて、ほのかな甘みを醸し出し、ちょっと酔うような気分に、彼女はめまいが感じながらも、徐々に軽くなっていくペースに心臓も熱く高鳴っている。
「私達はどこに行くの?」
緊張しながら、少女は話題を見つけた。
二人は手をつないで、赤レンガの古い建物が建ち並び、たまたま芽生えたツタの若葉が壁を覆った、濡れたきれいな道をあてもなく歩いた。
雨が降ったあと、太陽の光が木漏れ日で地面にまだらな金色の斑点を描き、その中を二人はこうして歩きながら、二人の体や顔に光と影の点が交差し続けた。
目の前にいた俺は振り返って微笑みながら言った。
「この近くに新しくオープンしたケーキ屋さんがあるから、先さ、甘いものが食べたいっていったでしょう?学校帰りだと少し待たされるかもしれないけど、今の時間ならちょうといいよ!」
何気なく聞いただけで、正直、どこに連れていくなんて気にしていなかった。
今は二人が一緒にいられるならそれだけでいい、しかし彼の話を聞くと、少女は嬉しくてでしょうがない、すでにハチミツを食べているような幸せな気分でした。
ケーキ屋さんはこの赤レンガのビルーにあります。この建物は90年代の工場だった。当時の港町高校の学生のほとんどはこの工場で働く人の子供でした。だが、経済発展に連れて工場は廃業となってしまった。
幸い、近年赤レンガーが芸術的な雰囲気に評判とされ、このエリアをリフォームして再び商業エリアに変わりました。
二人は店に入り、二階バルコニーのオープン席に座り、ウェイトレスが店の目玉商品であるムースケーキを二つ提供した。
「建築が好きだからこの場所を探したの、俺は建築のことはあまり詳しくないが、ただ、歴史が混じっているものには、多かれ少なかれ独特の魅力があると思ってさ、曹先生、どうですか?」
「あなたは……先に来たことがあるの?」
少女は敏感に尋ねた。俺が肩をすくめて不まじめで言いました。
「もちろん、少し前に仲直りするためにここに連れてくる予定だったが、ずっと俺を無視したから、仕方がなく他の数人の女の子と一緒にここに来て、先に下見をした。だって、こんな場所だから、男の子には見つからないよ」
「あなたは……あの……」
「嘘だよ、ここは白婷婷から聞いたの、でも、俺が学校でも有名人だから、ファンもいるのは普通のことだから、これから俺を用心深く扱わないとね?」
俺は片手で顎を支えて、スクスクと笑い、彼女はそれを聞いて前と同じように恥ずかしそうに二、三の突っ込みを返すだろうと思った。
しかし今はそうではない。
「うん……」
この「うん」という返事は、何かを言いたい少女のような若々しい気質で、一言言っただけですが、俺の体はまるで電気が通ったかのようにしびれ、頬が突然熱くなり、血が流れました。
額に突っ込んで、イチャイチャしたのは私なのに、今となっては恥ずかしくなってしまった。
俺は思わず少女の手を再び掴み、
彼女は最初少し縮み、それから俺さえも予想していなかった動きをした!
「あの…あの…これからはこんなことを言わないで……もうからかわないで…いい?もう…怒らないからだ…」
俺の息はさらに重くなり、今まさに開花しようとしている純粋で美しい少女を前にして、体のすべての細胞が喜びで飛び跳ねているのを感じました。
少年が一瞬沈黙したので、少女は思わず目を上げて注意深く彼を見た。
そしてこの視線は、春風のように俺の心に吹き込んでいた。
「それでは…あと3ヶ月待たなければなりませんね」と俺は彼女を見て、間抜けな笑みを浮かべて言った。
「なんで?」
「だって、あなたの髪が伸びたら、この世にあなたより美しい子はいないでしょう。そうすると、俺がまたこんな冗談を言ったら、俺も自分を叩くよ!」
「じゃあ、今の私は見た目が良くないってどういうこと?」
「??」
案の定、世の中の女子の焦点は、例外なく男子の考えているものと全く違うことが多い。
「違う…分かりづらい表現だけと、それって褒め言葉だよ、本当に褒めっているよ!」
すると、彼女はフォークを手に取り、ムースも一口を切り取り、俺の口に手を上げた。
「あなたも……食べて見て!」
俺が頭を撫でし、無事にレベルをクリアしたとホットし、周囲に人がいないことを確認して口を開け、ムースを一気に口に含んだ。
柔らかくて甘い味が口の中で一瞬にしてとろけ、口だけでなく心も大喜びしました。もともと甘いものが苦手でも、この状況ならあと10個も食べられるんだ!
俺は唇をなめ、馬鹿のように笑った。
「もう……」
こっそりと見てくれている少女も、にっこりと笑って照れくさそうに言った。
「どうしよう、
俺は口に蜜がいっぱいを塗ったように、完全に恥知らずとなってしまった。
俺も彼女の性格を知っているから、テーブルに手を組んで上体を前に傾けた少しだけ言って、こう続けた。
「ねえ、
案の定、
「まだ、始まったばかりだし、ちょっと早くないか?」
「ああ?まだ始まってないと思うよ!早くないよ」
「じゃあ……何を始めるの?」
「君への愛を始めるってさ!」
「ちょっと……普通にしてもらうない?こんなことはやめて……」
確かに、彼からそういうことを聞くのが好きだったが、長年培ってきた恥知りとしつけで彼女が思わず止めさせた。
「うん、こういうのは後で話しましょう!」
俺は身を後ずさりして、テーブルの上のムースケーキを食べ始めた。
少女は彼が普通に戻ったのを見て、元々の緊張や恥ずかしさは徐々に薄れ、幸せと喜びだけが心に残りました。
好きなデザートを食べ、好きな男の子は目の前にいる。
とても嬉しいこと……
しかし、一つだけ忘れているようなことがありまして……
それは何ですか?
「そういえば、先程、放送室で音楽を放送して告白したことを思い出すと、全身に鳥肌が立ちましたわ!幸いなことに私を受け取ったが、そうでなければ、ちょう気まずくなって、これからのブラック歴史となってしまうね!」
俺がフォークを口にくわえて、その可能性を考えるだけで怯えていた。すると、
「いや、とてもロマンチックだと思いますよ!」
「バカ、あなたが俺のことを好きだからロマンチックな気持ちになるのよ」
「そんなことはないわ!あなたはとても勇気があると思うよ、この日のことを永遠に覚えていくわ!」
少女の厳粛な姿を見て、俺はまたしても我慢できず、手を伸ばして彼女の真剣な顔を撫でたり、腕の中に引き寄せてしっかりと抱きしめたりしたくなった。
だが、今の少女の言葉を思うと、俺は衝動を抑え、心の中で何度も自分に戒めを与えた――。
(今度こそ、ゆっくりと時間をかけてやらなければなりません。彼女に一つ一つ愛を伝えるのを待っているので、まだ時間はたくさんあるから)
こうして二人はデザートを食べ終えて店を出て、来た道をゆっくりと歩きながら戻っていったのですが、俺は突然何かを思い出し、ポケットから
「もう携帯の着信履歴が爆発したでしょうね。学校の先生も心配しているしさ……」
「もしかしたら、もうご両親に電話をかけているかもしれません。高三という重要な時期に、男の子に誘拐されてしまい、絶対に説明が必要だね。婷婷さんが言う通りだけと、俺が大学に受かっただから、大丈夫だけと、君には絶対にこの過ちを背おられない」
「もし、先生に聞かれたら、俺を断ったと言ってね!今はやはり勉強に集中しなきゃ、これからまだ時間がたくさんあるから…」
「天然」
俺が学校に戻ってからの計画を話していたところ、
「どうしたの?」
「あなたは……もう、私の彼氏……ですよね?」
それを聞いた俺が深呼吸をし、頭を下げた後彼女を見つめ、非常に決意の強い真剣な口調で言いました。
「
そうして、雨で洗ったように清らかで透き通った少女は、十七歳の春、ついに大好きな男の子ができた。
彼女は忘れていたことを思い出した。
次の瞬間、彼女は用心深くつま先立ちで彼の頬にキスをした。
その夜、モーメンツのスクリーンショットが学校のゴシップグループで話題になりました。
画像は二人が手を繋いでいる写真だけで、投稿した内容は――
「天然の愛青」
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