第13話 魔性の宝冠(前編)
「いよいよ準決勝だな。
三日目……ベスト8が決まり、今日は三人とも試合がある。
「言っておくがオレの相手のロキは女ではないぞ」
「またぁ……訳のわからないこと言っちゃって困るね、ヘイムダルさん。どう見ても女の人じゃ……」
「ロキ・ダークサイドは人格だ。あの野郎……今度は女にとりつきやがった……」
「わかるような、わかんねーような……おめー、知り合いか?」
「……じゃあな、ジェロム」
ヘイムダルは問いに答えず、さっさと試合場へと向かった。
「なんだよ、あいつ……」
「まだ生きてやがったのか、ヘイムダルよ」
「貴様こそ……一体何人の奴に迷惑をかけりゃ気がすむんだ……」
試合前、ヘイムダルに話しかけたのは相手のロキだった。
「そうだな……この女で90人目だからな……あと910人ぐれ~かな」
「きさま……!!!」
「ふん……! お前に何かできるってのか? 『グラール』をスルトにとられた
「……どうやってとりついたかさえわかれば貴様など……」
「え~、それでは準々決勝第一試合……Aブロックはリズ・メイ対オーディン、Bブロックはロキ・ダークサイド対ヘイムダル・ラスプーチン戦を始めます……試合……開始!」
その声とともに二つの閃光が観客たちの目をくらませた。
爆発が起きた。そして止んだ。
そこには場外に落ちたロキと、一歩も動かぬヘイムダルの姿があった。
「リフレクトの魔法で跳ね返した。うかつだったな、ロキ」
「…………!!」
ヘイムダルたちの試合を見て驚いていたリズもやっと動き始めた。
「何じゃ、あっちははぁ終わったみたぁじゃけど。うちらもそろそろ……」
リズは両手を胸の前でかまえ、闘気を集中させ始めた。
オーディンは黙ったまま立ちつくしている。
(鎧が邪魔じゃったら鎧ごと吹き飛ばしゃええんじゃ……!)
リズは両手を今度はオーディンの方へ向けて叫んだ。
「うけてみい! うちの究極奥義……不動明仙光じゃぁ!!」
人間レベルを超えた気功砲がオーディンに
流石のオーディンも手を出さずにはいられぬようだ。オーディンは手のひらで返そうとしたがその場で爆発!! 周りの床は崩れた。
しかし被害といえばそれと、オーディンの籠手にヒビが入っただけだった。
客席が沸く。
「効いとらん……じゃったらこれはどうじゃ! 最高奥義……
リズの姿が消える。破壊音がした。リズの放った蹴りをオーディンが防いだ音だ。籠手が砕け散り、衝撃で兜にもヒビが入る。
次に来た左の旋風脚は鎧のボディを砕き、オーディンはよろめいた。さらに右足の
それからの戦いはすさまじかった。徐々にオーディンの攻撃が冴えてきた。
そして二時間以上に渡る戦いに終止符を打ったのはオーディンの攻撃だった。
最初の攻撃でかなり体力を消耗していたリズは槍の柄で足を払われ、場外……負けだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます