第19話 ムカデ

社会的には死んでいるから、あとは肉体が死ねば万事すっきりする。


子供の頃、大きい岩をひっくり返したら、ムカデがうじゃうじゃ居て物凄く気持ち悪かった記憶がある。


今の大人になった俺は、あの頃のムカデのような存在に近い。岩の下に隠れて誰にも見えないようにひっそりと生活している。社会の嫌われ者。誰か俺を殺して。


あなたは喜んでムカデをペットにすることができるか? 体長171センチのムカデと交尾できるか? そういうことだ。


でもムカデはこの世にひとりぼっちじゃない。ムカデは何万も存在する。ムカデ同士、岩の下で仲良くしよう。


それだけがムカデに生まれた者たちの最後の希望だ。


ムカデちゃんは会社をサボって手首を切った。ムカデくんはその血を美味しそうに舌で舐めた。


仲良くウニョウニョ踊りましょう。世間から気持ち悪がられても。



やってらんねえぜ。鏡に映る俺がキモすぎる。完璧な輪郭、完璧な目、完璧な鼻、完璧な口元、完璧な眉、完璧な髪……酔っ払ってる時は確かにそう見えた。だがシラフで鏡を見るとそこには醜い豚がいた。俺は再び酒を飲んで、寝た。


目が覚めると彼女はもうベッドの上にいなかった。


かけがえのある愛しい人よ。


南無阿弥陀仏。南無妙法蓮華経。


戦争は嫌だって何度も言っている。俺は健康になりたいと言って、タバコに火をつけた。早く死にたい。


君が傷つけられた事に意味はない。


高校時代のあの日、君が家から出ずに眠っていたら、君はレイプされなかった。でもその代わりに他の誰かがレイプされていた。俺はそう思う。


誰かが負うはずだった傷を、たまたま君が負ってしまった。ただ運が悪かっただけ。


高校時代、俺の初恋の女の子がレイプされた。


俺は10年経った今も犯人を許せない。目の前にいたら殺したい。刑務所に入ってもいい。全国に名前と顔が出てもいい。正しいのは絶対に俺だ。殺さないと気が済まない。犯罪者になってもいい。


俺はまともじゃいられない。


まともが分からない。


北海道に行って、犯人を殺したい。


孤独だけが俺の友達。


失うものは無い。


死ぬことよりも辛いことなんて、この世界には幾らでもある。彼女は心を殺された。


誰かが仲間とゲラゲラ笑ってる部屋の、その隣の部屋では、誰かが1人ぼっちで手首を切って泣いている。


高校時代の俺が暗い部屋でずっと泣いている。俺はお前が誇れるような大人には成れなかった。でも俺は何も間違ってないと思う。戦争が嫌いだ。ウクライナに募金した。


俺は今、高校時代のことを思い出して泣いている。いろいろ思い出して泣いている。


大人になれなかった。


くだらない。



体調悪くてsyrup16gのライブ行けなかった。残念すぎる。


今日、syrup16gの本が届いた。辞書くらい分厚い。半年くらいかけて読む。もう頭が働かねーから本がろくに読めない。


死にたくてしょうがない。おれの願いは一つも叶わないから。結局は孤独。泣いている。





つづく

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