新訳・自殺について

Unknown

第1話 ニコチンスープを飲んでみた

 最初なので自己紹介をする。俺は26歳。男。身長171。体重60。「発達障害(ASD)」と「鬱病」と「アルコール依存症」の3つの診断をされており、障害者手帳の2級と精神障害年金の2級を貰っている(障害年金は月に換算すると65000円くらい貰える)。そのお金と、親の仕送りによって俺は安いアパートで1人暮らししている。


 幼い頃から「頭がおかしい奴」扱いされていたので、おそらく俺は頭がおかしい。高校からは周囲に馴染めず、不登校にもなった。


 最終学歴は専門中退。20歳の頃までは電気系の工場の正社員で働いていた。簡潔に説明すると、特殊車両の部品の配線を組む仕事だった。


 現在は「B型作業所」で不定期的に働いている。それが一応今の俺の仕事と言ってもいいが、はっきり言ってB型作業所はチンカスみたいな賃金しか貰えないので、もう少し精神が安定したらA型作業所に移行したいと思っている。A型は週4とか週5で働くことが求められる分、最低賃金分は貰える。B型の場合は最低賃金の遥か下の額だから、B型は俺にとって社会復帰におけるリハビリ的な側面が強い。


 うちのアパートの近くにA型作業所がある。色々調べたところ、週5日勤務の4時間労働で月8万円くらい貰えるらしい。


 つまり、障害年金の65000円プラスA型作業所の給料80000円。合わせて月145000円になる。安い正社員くらいにはなるのだ。できれば早いことA型作業所に通いたい。B型作業所の職員曰く、俺は普通にA型でも働ける能力はあるらしい。


 あとは何書くか。


 小学生から高校の途中までずっと野球部だった。勉強はしたことない。


 あと、ロックが大好きで先月までスリーピースバンドを組んでいたのだが、色々あって解散した。


 いちばん好きなバンドはsyrup16g。1番ライブに足を運んだ回数が多いのもsyrup16gだ。


 今、everything with youという曲を聴いてる。歌詞に「首吊り台」という言葉が出てくる。歌詞は暗いが曲調は明るい。syrup16gらしい曲だ。


 あとライブに行ったことあるのは、ノーベンバーズとかピープルインザボックスとか。


 昔のロキノン系みたいなバンドが好き。


 THE NOVEMBERSの「こわれる」という曲のライブ映像がユーチューブにあるので暇な方は大音量で見てみてください。クッッッソかっこいい。


 ◆


 高校生の頃から死にたくて仕方なかったのだが、ここ最近、希死念慮が激しい。前々から気になってた急性ニコチン中毒で自殺することにした。


 実は俺は昨日、煙草15本を一晩漬けた「ニコチンスープ」もとい「タバコジュース」を一気飲みしたのだ。その経過を書く。


 ↓


「高濃度のニコチン溶液を飲むと数分で死ぬ」と、どっかの病院のサイトが言ってたので試した。

 飲んでから30分経過したが我慢できる程度の吐き気くらいしか症状は出てない。

 ここで吐いて体内のニコチン濃度が下がると元も子もないから、吐き気を我慢して様子見した。

 正直、期待薄だ。


 たった15本分のニコチン溶液では死ねなかった。


 ↓


 速攻で歯を磨いて、マウスウォッシュして、ゲロを吐いた。なのでまたマウスウォッシュした。口の中に広がるタバコの臭気が不快すぎる。


 クソだるい体でスマホを弄って調べてみて、わかったことがある。


 ニコチンのLD50は犬の場合で9.2mg/kg(経口)だから、例えば俺のように60kgの人間だと552mgで50%の確率で死ぬ。バットの含有量は1本1mgだから100%抽出したとしても552本必要になるらしい。


 ……つまり15本で急性中毒は無理。ということだ。


 そもそも、まずくて何度も飲めたもんじゃないし、タバコ552本分を抽出してそれを全て飲むなんて不可能に近い。さらに全て飲み干したとしても、50%の確率でしか死ねない。


 結局、楽に死ぬ方法なんて無いわけである。


 ニコチンスープを一気飲みしてた時、俺はハリーポッターのダンブルドアのあれを思い出した。たしか「謎のプリンス」でダンブルドアがめっちゃまずい液体を超苦しそうに飲むシーンがあるのだ。ニコチンスープを啜る俺の表情もあんな感じだった。


 俺はまた馬鹿な事をしてしまった。


 そして俺は人を殴るゲームばかりしている。きもちいい。



 ※ニコチンスープなんかじゃ絶対死ねないから、絶対に真似しないでください。




 2話に続く

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