帰省するはずだった息子

 こんなご時世だ。

 都会に住む息子とは久しく会えていない。だから、息子とのテレビ電話に私は少し舞い上がっていた。しかも、向こうから話がしたいと連絡がきた。


「母さん、本当にごめん。実は事故の賠償金が不足していてさ……」


 振り込んだのは昨年の夏だった。

 息子は今年もまだ帰ってきていない。

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