愛を育てる時間(末っ子3)

夏目碧央

第1話 幸せな瞬間

 俺の家に泊まりに来たテツヤ兄さんは、パジャマ姿でベッドの上に座っていた。風呂から上がってベッドルームに入ってきた俺は、タオルを首から下げてはいるが、身につけているのはアンダーウエア(パンツ)のみ。ドアを閉める音で、テツヤ兄さんはいじっていたスマホをベッド脇に置いた。そして俺の姿を見ると、ニッコリ笑いかけてきた。

 うっかりこっちも微笑み返しそうになるが、今は雰囲気を作る為に敢えて笑顔はなし。灯りを絞って部屋を薄暗くすると、タオルを置いてベッドの上へ上がった。

「あれ?レイジ、パジャマ着ないのか?」

全く、テツヤ兄さんはいつもこれだ。天然キャラなのだ。どうやら本当に分かっていないようだから始末が悪い。これから俺が何をしようとしているのかを。それでも俺はめげない。テツヤ兄さんの顔を両手で包み込むようにして持ち上げると、口づけをした。

 確かめるように、何度もついばむ。拒まれない事を確認すると、一気に激しく口づけた。テツヤ兄さんは抵抗せず、ちゃんと応えてくれる。それが嬉しくて、愛しさが増して、俺の手は強く兄さんを抱きしめる。そして、背中をまさぐる。テツヤ兄さんは溜息を漏らし、俺の唇は兄さんの首筋へと移動する。

「あっ。」

テツヤ兄さんの、ちょっとハスキーな低い声が聞こえて、思わずゾクッとした。俺はテツヤ兄さんのパジャマのボタンを外し、キスを肩の方へと移動させる。そして、パジャマを肩から落とす。

 すると、テツヤ兄さんはさっとパジャマの前をかき合わせ、身を引いた。ウソだろ。

「テツヤ兄さん?どうしたの?」

「ごめん。だって、痛いの、怖いんだもん。」

上目使いで俺を見る、可愛い天使。まだ、キス止まりの俺たち。ちゃんとつき合うようになったばかりだけどさ、俺たちもう立派な大人なんだからさ・・・。でも痛いのは可愛そうだし。ん?痛いのが、怖いって?

「じゃあ、痛くない事ならいい?」

俺が聞くと、テツヤ兄さんは大きな目をもっと大きくして俺を見た。

「痛くない、事?んー、それなら・・・。」

俺は続きを始める。首筋のキスが大好きなテツヤ兄さんは、パジャマの前をかき合わせていた手を緩めた。鎖骨、肩へとキスを移動していき、パジャマは完全に落とす。それから腕にもキスをして、徐々に肘の方へ。そして腕から胸へと移動させる。胸の突起を舌で刺激すると、テツヤ兄さんはまた溜息を漏らした。

 キスを徐々に下の方へと移動させていき、キスをしながらそっとテツヤ兄さんのアンダーウエアに手を伸ばす。良かった、ちゃんと感じてくれている。優しく撫でると、

「あっ。」

また、兄さんの声が漏れた。ゾクゾクする。テツヤ兄さんの声は最高だ。低い声で歌を歌う時、高い音を裏声で出す時、聞いているだけでゾクゾクするのだが、こんな時なら尚更だ。

 アンダーウエアを下げ、テツヤ兄さんの分身を自由にする。それを口に含むと、

「うわっ!」

ひときわ大きな声が出て、テツヤ兄さんは両手で自分の口を押さえた。俺の頭が上下する度に、押さえた口からくぐもった声が聞こえる。そして、テツヤ兄さんは俺の口の中で果てた。満足感でいっぱいになっている俺に、

「ずるいぞ、レイジ。」

テツヤ兄さんはそう言うや否や、俺を押し倒して馬乗りになった。かと思いきや、一気に俺のアンダーウエアを下ろす。そしてあの綺麗なお顔の、綺麗なお口に、俺の・・・。

「早いよ。」

テツヤ兄さんがそう言って笑った。

 ああ、幸せ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る