第27話 どうでもいい ※フェリベール王子視点

 もう元通りにならないと知った時に、どうでもいいと全てを投げ出したくなった。彼女は、もう戻ってこないから。俺のもとには、二度と。


 父が新しく選んだ相手と婚約して、すぐ結婚することになった。だけど、反抗しなかった。どうでもいいから、言われた通りに従うだけ。


 レティシアじゃなければ意味がない。彼女以外なら、もう誰でも良い。


 彼女は辺境へ行ってしまった。もう、俺のことも忘れているかもしれない。忘れないでほしい。でも、彼女に嫌われているかもしれないと思うと、忘れてほしいという気持ちもある。


 常に、レティシアのことが俺の頭の中にあった。彼女のことばかり考えてしまう。彼女を想うだけで、幸せだったあの頃が蘇る。


 美しかった彼女。ずっと近くに置いておきたかった。手放してしまったことを後悔している。この先も、この後悔が消え去ることは無いだろうな。一生このまま、俺は彼女を想い続けるのだ。


 想像していたような未来じゃなかった。本当に最悪だな。ちょっとした間違いで、全てが狂った。俺が狂わせてしまった。もっと違う未来があったはずなのに。


 絶望の底に居るような感覚は、死ぬまで続いた。


 どうしてあの時に、俺は。

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