第12話 支えたい
ブレイク様に気持ちを伝えてから私は、なるべく彼と一緒に過ごすようになった。
彼は、スタンレイ辺境伯としての仕事で毎日忙しかった。多忙な彼の邪魔をしないように注意しながら、そっと寄り添うようにして同じ時間を過ごしていた。
とにかく、彼の負担にならないように気をつけて
書類仕事をしている時は気配を消して、静かに彼の横顔を見つめながら過ごした。彼が疲れた様子を見せた時には、そっとハーブティーを差し出す。少しでも心休まる時間を過ごせるように、彼のことを想いながら用意をした特別なハーブティーを。
仕事関係の人達と、大事な会議をする雰囲気を感じ取ったら、気付かれないようにそっと彼から離れる。そして、話が終わったらすぐに戻ってくる。また、彼と一緒に過ごす。
私にも出来る程度の雑用であれば、率先して手伝った。
「君のような女性が、こんな事をやる必要はないぞ」
「いいえ、私にも手伝わせて下さい。もしかして、余計なお世話でしょうか?」
邪魔になっているようであれば、すぐに止める。ブレイク様に迷惑をかけたくないから。でも、そうじゃないのなら手伝わせてほしい。
沢山の時間を貴方と一緒に居たいので、私にお手伝いさせて下さいとお願いした。
「余計なお世話なんて、そんなことはない! ただ、君は女性なんだし。俺としては色々と心配なんだよ」
「ふふっ、心配してくれてありがとうございます。でも、大丈夫ですよ? これでも体力には自信があるんです」
彼に心配してもらえる。それが、嬉しかった。だから、もっと頑張れると思った。無理をし過ぎないように気をつけていることも、ちゃんと伝えた。
「……分かったよ。だが、無理はしないでくれよ?」
「はい!」
彼に言われた通り、無理をしないように気をつける。これで疲労を溜め込み倒れてしまったら、かえって彼を困らせてしまうだろうから。
私の行動に対して、最初は戸惑っていた様子だった。けれどブレイク様は、次第に慣れてきたのか何も言わなくなった。静かに、見守ってくれているのを感じる。私のことを理解して、しっかりと受け入れてくれたようだ。
こうして少しずつ彼の仕事を手伝うようになってから、一緒に過ごしているうちに彼のことを知ることが出来た気がする。
領民達から慕われている、ブレイク様の辺境伯としての凛々しいお姿を間近で見ることが出来たから。
常に仕事熱心で、真面目でカッコいいブレイク様。体も鍛えていて、とても頼りがいのある御方。もっと知りたいと思う。沢山のブレイク様の素敵で立派なお姿を。
そして、スタンレイという土地についても理解が深まっていった。これから私が、ブレイク様と一緒に暮らしていく領地だから。ちゃんと知っておきたいと思う。
ブレイク様の妻として、領民の皆にも認めてもらいたい。そのために、私は全力で彼のサポートを頑張った。彼に相応しい妻になれるよう、努力を重ねていく。そんな日々が、とても楽しかった。
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