夏の終わりに

蝉が「み゛」と言って一言零して、それ以上何も喋らなくなった。

ごめんな、蝉。

お前にとっては遺言だったろうに、私にはそれが分からないんだ。許してくれ。


だけどもし重い遺言だとしたらちょっと罪悪感が私に伸し掛るので、

「あの角にある店の団子を食べてみたかった」くらいの軽い遺言であってくれ。

そうなら私も気が楽なんだ。

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