水征の王妃様 ~美魔女に飼われる王族家出少女の魔女見習い~

なまこまな

自然の章 ~赤髪魔女と次期王妃~

 ~プロローグ~

    「好きでもない人を好きになるのは

    天地がひっくり返ろうとも起こり得ない、


     魔女は滅びゆく世界の終焉にささやいた。



 この言葉通り、あなたは最初から興味がなかった人を好きになったことはあるだろうか?

 本来ならあり得ないけど、少なくとも私が恋した相手はそうだった。


 悪意を隠した善意の言葉があるように、己の目的や野望のために偽られた愛の気持ち悪さは言うまでもなく読者の想像通りのもので、

 この物語の結末でもある世界の終焉に告げられたとしてもロマンチックとは程遠いだろうし、当然そんなことを言う相手を好きになるはずもない。




 でもそれが、私の思う理想の愛だったとしたら、


 という、“本当”の話。












 剣と剣とが鍔迫つばぜり合う夢の世界。そこに現われし魔王は姫をさらい、罪なき人々の平和を脅かし、勇者御一行は魔王討伐に立ち上がる__


 ……という、この世界では誰もが知るおとぎ話がある。小さい頃に絵本で読んだことがあるのだけれど、どんなタイトルだったかは思い出せない。


 舞台は人口約230万人の国ヒスイ。そこは年間を通しての雨季と大自然に恵まれ、国の外周には無限に広がる霧の森が支配する唯一無二の単一世界。箱庭の小国である。


 魔法はもちろん日常にありふれてはいるけれど、お世辞にもド派手とは言えない。当然、世界征服を企む大魔王もいなければ勇者様が必要とされる世界でもない。人も皆優しく、笑顔に溢れ、温厚で、何より治安が良い。


 それは……素晴らしいことだ。

 ただ、物語としてはあまりにも

 退屈の極みとも言える。


 そんな平和な時代に生きる私ことシオン・フォレスタ“次期”王妃位継承者(15歳)は現在、


 わけあって普通の学生として寮生活をしている。






 これは、後に師匠となる魔女との出会いと

 とある相棒と旅を始めるまでの過程を描く

 次期国王妃となる少女シオンの、はじまりの物語


 キャラクターのお姿は近況ノートにも乗ってるのでそちらもよろしければ……と、少々長いプロローグだったかもしれません。

 では本編をどうぞ




      ヒスイの紡ぎ人 -自然の章-


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