4-2

気が付くと、鼻眼鏡をかけ、平安貴族の衣装を着た学者風の格好をした大きな虫らしきもの?がS.A.達の前に立っていた。


その虫は、S.A.や、丼、雀に向かってお辞儀をして、「お懐かしゅうございます!」と言った。


S.A.「えっ!」


S.A.は、理由(わけ)がわからず思わず驚いた。


丼、雀「こおろぎ!」


雀「こおろぎやないかい!どないしてた。久しぶりやな」と言って、こおろぎの肩?らしきところを叩く。


丼「久しぶりでありんす」


S.A.「何っ?またまたあんた達と知り合い!?……って事はもしかして私の事も知ってるってこと?!」


丼「そうでありんす」


雀「俺たち仲間やし…」


S.A.「そんなこと言っても、あんた達だって生まれた時代違うじゃないの…」


丼「そうでありんすけれど…」


こおろぎ「お懐かしゅうございます」とS.A.に握手を求める。


S.A.、思わずその手?を振り払って、「あんたは懐かしいかもしれないけれど、私はちっとも懐かしくなんかないわよ!大体どうして『こおろぎ』なのよ。どうみても『バッタ』じゃない」


こおろぎ「ハイ。平安時代までは私たちが『こおろぎ』と呼ばれ、今の『こおろぎ』が『バッタ』と呼ばれていたのであります。この事は、芥川龍之介氏の『羅生門』の脚注にも書いてあります」


S.A.「へぇーっ……、貴方って物知りなのね…」と感心する。


丼「こおろぎさんは、昔から物知りで、歩く書庫と言われてるでありんす」


雀「わかんねぇ事はたいてい、こおろぎに聞けばわかるちゅうことや」


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