第21話 櫻井君のことが・・・


夜景の見える窓際のカウンター。

薄暗く、キャンドルがちらちらと揺れている。

軽い食事と、シャンパン。


本当にデートみたいだった。

私は櫻井君が彼氏だったらいいのにと想った。



・・・ゲイだなんて、相手の男の人どんな人なんだろう・・・


急に悲しくなった。



「どうした? 」


櫻井君は私が急に口数が少なくなったので聞いてきた。


「周りはみんなカップルだよね。うらやましいなって。私たちだけ、偽装カップル・・・」


「・・・今日だけカップルでいいじゃん。」


櫻井君は私の肩に手を回した。



・・・そんなことしないでよ~余計悲しくなっちゃう・・・



「少し疲れちゃった、そろそろ帰ろう。今日は付き合ってくれてありがとう。それに引越しの手伝いもありがとう。」


「どういたしまして! 」


櫻井君は私の顔を除き見るようにして言った。


私はその櫻井君の目線を切ってお会計場所に行った。


お会計が終わり、櫻井君を探すと櫻井君は外で待っていた。


「ごちそうさまでした。いい店だね。また来たい。」


「そうね。お互い次は恋人と来ようね。」


「・・・」



二人は帰り道を歩いた。

同じところに帰る・・・でも隣の部屋・・・


私は泣き出しそうだった。


・・・私、櫻井君が好き。正人さんは好きにならなくてはと思った人。櫻井君は初めて好きになった人なのに・・・なんでゲイなの・・・どんどん好きが増しているのに・・・

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