第17話 牧村さんの嫉妬


それから数日したある日、牧村さんが店に来た。


「牧村様、いらっしゃいませ。本日はお一人ですか? 」


「朋美ちゃんだったね。僕が一人で来ちゃダメ?」


「いえ、そんなこと・・・失礼いたしました。」


「君さ・・・西崎とデートしてるよね? もう西崎に抱かれたの?」


「いえ・・・そんな・・・」


「西崎は今日来ないよ。もうさ、会わないでくれるかな西崎と・・・」


「えっ?」



櫻井君が牧村さんとの話に割って入った。


「牧村様、いらっしゃいませ。カウンターどうぞ。本日もいつものでよろしいですか?」


「ああ、そうだな今日はバーボンをロックでもらおうかな。」


「はい、承知いたしました。」


櫻井君が・・・また助けてくれた・・・



私は家に帰ってから櫻井君に電話をした。


「櫻井君・・・今日はありがとう。」


「牧村のやつ、嫉妬深いな。西崎はもしかしたら牧村から離れたかったのかもな。でも難しそうだ。ご愁傷様。」


「櫻井君・・・いつもありがとう。私もう西崎さんとは会わない。」


「そうか。まあ、その方か身のためだ。」


「うん。私・・・あの・・・」


「俺、眠いから切るぞ。」


櫻井君はプツッと電話を切った。



私は西崎さんの誘いを断った。

お店で会いましょうと、優しく伝えた。

西崎さんは素直に聞いてくれた。その後も西崎さんは牧村さんと二人で良く店に来たが、西崎さんが私に目を配ることは無くなった。

それでも牧村さんはたまに私に見せつけるような行動をした。



私はバーという場所にいろいろな意味で慣れてきた。

そして格好にも気を遣うようになっていた。

それと共に、お客様から誘われることも増えた。

私は西崎さんのことがあったので、それ以降は誰の誘いにも乗らなかった。


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