新作・ノベル200「恩返しは順番待ち」


「さっき助けてくれた男の人の家はここね……って、え!?」


「おっ、あんたも助けられたのか? 恩返しに機織りでもする気かよ。

 だが残念、あの人は色々な所で、鶴に限らず助けてるからな……恩返しも順番待ちだぜ?」


 ――その家は、多くの人で賑わっていた。


 助けてくれた男の人は、輪の中心で酒を飲んでいる……。


「自分だけが『特別』だから、助けられた? 

 ――違うね、おれもあんたも、大勢の中の一羽なんだよ」

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