星の彼方に捧ぐ想い

藍瀬なゆる

第一章 星の王国

序章

 夜の空に瞬く星々。月の明かりに照らされた金色の髪をした女性は、夜風によって靡いた《なびいた》自身の髪を手で抑えながら、暗い空に瞬く無数の星々が浮かぶ夜空にそっと手を伸ばし、もう、此処には居ない少女と初めてあった日の事を思い馳せる。


 少女と出会ったのは8年前。年に一度、夏に行われる【灯篭祭り】の日であった。あの時、あの場所で、彼女と出会った事をきっかけに私の変わり映えのない毎日が少しずつ変化していくことになるなど、彼女と出会う前は思いもしなかっただろう。


 けれど、彼女との出会いは思いもよらぬ最悪な出来事へと繋がってしまった。しかし、私はあの日、あの場所で彼女と出会えた事を悔いてはいない。


「私は貴方と出会えて、色々な事に気付けた。私にとって貴方は夜の空に輝く星のような存在だったのかもしれないわね」

 

 そう独り言のように呟き金髪の女性は夜の空に背を向けてその場を後にした。

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