第28話 怒りの矛先

ギャングツインズはまだ小さく、組の派閥とか全く知らないのであろう。

ヤクザ大好きちびっ子たちは、そんな組同士の垣根なく、ヤクザには平等に人懐っこく接していた。


表裏が無いためどこの組でも受け入れられてしまい、どの敷居もスルーという最強幼児と化してしまった。


そんなことは知らないツインズは、誰からか貰った三輪車で今日も近所を爆走して、臆することなく、ヤクザに声をかけまくっているのであろう。


あの姉にして、この弟妹だな、と納得する。


起き上がって、遅いブランチにありついていた。学校でも行くか、と思い部屋を出る。

長い縁側の廊下を歩いていると、何やら外がうるさい事に気づいた。


幽玄は傍にいた者に「なんだ?」と尋ねる。

普段なら放置なのだが、煩い中に気の所為か子どもの声を聞いた気がした。


案の定、話題の中心人物は双子の様である。

「いえ、いつも煩い双子どもが大人しいというか……覇気が無いというかで、若いもんがどうした? と何やら心配している様子でして」


「ヤクザがガキの心配か?」

その答えを聞いて、幽玄は腹を抱えて笑ってしまった。

滑稽過ぎて、どこに突っ込んだらいいのかすら分からない。


急に笑い出す幽玄に、周りはどう対応していいのか困惑していた。

笑いの真意が見えないのである。


なんだ、この茶番は? と、一通り笑い終えるとその視線は何故か報告した者に向けられた。

直後、有無を言わさず幽玄は蹴り飛ばす。


──……ドォォン!!

それは唐突な行動で、叩きつけられる音が鈍く響いた。


吹っ飛ばされたものは受け身すら取れず、壁に叩きつけられ崩れ落ちる。


幽玄は怒り心頭で、「どれだけ絆されたら気が済むんだ?」と吐き捨てた。

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