普通電車

普通電車に乗った。


家と学校の最寄り駅は快速急行の停車駅だし、気分が悪かったわけでも途中下車する訳でもないのに。なのに普通電車に乗った。


いつもは押し込まれながら乗っていたのに、席はガラガラで寝転べてしまうくらいだった。


2駅乗ったところで、手押し車のおばあちゃんが隣に座った。

いつもなら老人が近くにいても「席を譲ろうかな、でも恥ずかしいな」なんて考えて、中々行動を起こせないでいるだろう。でも、普通電車はガラガラなのでおばあちゃんも座れた。


更に5駅ほど乗ったあたりで、今度は子連れのお母さんが乗ってきた。3歳くらいの男の子と、抱っこされて寝ている赤ちゃんが可愛かった。

赤ちゃんが時々泣いていた。お兄ちゃんも電車が楽しいみたいでキャッキャと喜んでいた。私の隣に座っていたおばあちゃんが笑っていた


そのあと、私はしばらく寝ていた。窓から差し込む太陽が妙に気持ちよくて、赤ちゃんと子供の声を聞きながら眠っていた。


目が覚めると、目的の駅から数駅過ぎていて慌てて降りた。駅はスーツを着た人、制服を着た人、オシャレな私服の人でごった返していて。なんの音か分からない耳鳴りがドッと聞こえてきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る