第307話 《アンナ》のお泊まり会

アンナの久々の学校は、以前と特に変わったところはなく、勉強をして、休み時間には友達と遊んで、平和な1日であった。


黎人の子供の時と違い、アンナは黎人は他にも冒険者がいた事もあって、学校に来るまでに力加減は完璧にコントロールできるようになっている。


なので、今日はしていないが、今後サッカーやドッチボールをしても、相手に怪我をさせるという事はないだろう。


家に帰って来ても、ずっと学校で楽しかった事を話してくれる。


そして、晩ご飯の時には、黎人からアンナに嬉しい発表があった。


遂に、お泊まり会パジャマパーティーの日が決まったのだ。


「パパ、ほんと! 来週の日曜日?」


アンナは、スプーンで掬ったカレーを口に運ぶ前に黎人に質問した。


「ああ。火蓮がみんなで手巻き寿司しようかって言ってくれてるぞ。ご飯の時はみんなのママとパパにも来てもらってその後はお泊まりだな」


黎人がお泊まり会の時に各家庭に提案したのは子供達がお泊まり会でどんな風に過ごしているのかを見る為に、一緒に晩ご飯をどうですかという事であった。


幸い、黎人の家は弟子や友人達が集まっても入りきるキャパシティはある。


なので、家族ごと食事に招待した。


「アンナちゃん、先にご飯食べちゃおっか」


お泊まり会が楽しみだと一生懸命話すアンナは掬ったままのカレーをほったらかしであった。


火蓮の指摘に、アンナはハッとした様子でカレーを食べ始めるが、我慢できないのかウズウズした様子で、結局、話をしながら食事をした。



そして、お泊まり会の当日。


楽しい食事も終わって親達も帰った後、アンナ達はお風呂に入ってお揃いの着ぐるみパジャマに着替えていた。


広いお風呂で、みんなで一緒に入ったので、お風呂でも遊んで長風呂をして、最終的には火蓮と紫音にお風呂に突撃されて、強制的に頭と体を洗われて、外に放り出されていた。


髪の毛を乾かした後、フードを被ったうさぎアンナハムスター輝羅友里樹菜耳折れ猫天華真理衣のかわいい動物達が並んだ様子を、火蓮と紫音が何枚も写真におさめている。


写真を撮り終わった後は、先ほど連絡先を交換していたようで、それぞれの親に写真を送っているようだ。


「みんな、アイス食べる人」


「「「「「「食べるー!」」」」」」


譜が、アイスのファミリーパックを持って現れると、子供達は駆け寄っていく。


そんな


つい先日に、魔物事件が起こったと思えない


なんでもない幸せな1日。


「はい、パパのアイス!」


黎人の分の棒アイスを持って来てくれるアンナの笑顔を見て、この笑顔を守り続けようと、黎人は思うのであった。





第八章完

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