ラスベガスでエンジョイ
旅行中、カレンのトラブルは乗り継ぎ空港での勘違いだけで、後は本人、現地でピラミッド型の巨大ホテル、ルクソールホテルに泊まって大はしゃぎだった。
入口の両脇のスフィンクスや、内部のエジプト遺跡の中のような写真を撮りまくってメッセージアプリで大量にセイジや家族、友人らに送っていた。
元同級生セイジがものすごく気にしていた英会話は、現地がバリバリの観光地だったことで、ホテルやレストラン、カジノなど、どこに行ってもカレンのつたないカタカナ英語でも察してくれたので無問題だった。
この調子で4泊5日のおひとりさま旅行をこなすつもりらしい。
カジノでは二日目の夜にルーレットでビギナーズラック。
何と一気に4000ドル以上ゲットして、旅行代金や飲食代、土産物代までペイしてしまった。
「そこで、そこでやめておくんだ、それ以上はいけない!」
やはり仕事中に送られてきたメッセージに、もう所内は爆笑の渦に巻き込まれていた。
スマホには、ジャックポットを当ててフィーバーした動画が送られてきている。
「アクティブな彼女さんねえ。やっぱり早く捕まえておいた方が良いんじゃない?」
所長の奥さんの総務部長がしみじみと言った。
そんなラスベガス滞在中、ハンドメイド作品の出品アプリで、カレンの作ったレジン製のアクセサリーが複数売れた。
だが旅行中で発送できない。
『どうしようー?(´・ω・`)ショボン』
「旅行中だから帰国してから発送してますって返事書け!」
遠い海外での旅行で気が緩んでいるのか、カレンからは彼女のポンコツにもほどがあるメッセージばかり送られてきていた。
「不安だなあ……変な事故やトラブルに巻き込まれないうちに帰ってくるといいんだけど」
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