第34話編入生2


 前回とは違う展開に頭を抱えた。

 それでも調べない訳にはいかない。相手を知らなければどんな行動に出るのか分からないのだ。何しろ、前とは全く違う状況だ。


 生徒会で調べるにも限度があった。

 悶々していると救いの手が延ばされた。



「そんなに編入生たちが気になると言うのなら公爵家で調べればいいのではなくて?」


「義姉上?」


「学園では表面的な事しか分からないけれど、公爵家の力を使えば更に詳しい事が分かるわ。近衛の者達も表立った事しか教えてくれなかったのでしょう?」


「……まあ……」


「騎士団団長の長男に冤罪を被せたのが騎士団の平民だなんていう話を疑っているのでしょう?」


「う……ん……」


 そうなのだ。

 冤罪を被せられた。

 その犯人は平民出身の団員だという。その話を信じろと言う方がどうかしている。どうやって侯爵家の、それも雲の上にいる団長の息子を罠に掛けれるというんだ?


「恐らくこれ以上の詳しい話を彼らはしないはずよ。どう見ても近衛騎士団の醜聞ですもの。団長である侯爵にしても息子を信じ切れなかった負い目があるんでしょうね。だから大公家から戻らない息子を叱責する事もできない。絶縁とはいうものの本当に縁を切っているのかも怪しいわ。籍は残ったままか、もしくは一度除籍して冤罪を分かった後に戻している可能性は大いにあるわね」


「え~~~っ……」


 それはどうなんだろう。


「侯爵家の跡取りが次男に変更していない点を含めて可能性はあるわ」


「あーー」


「自他ともに厳しい団長様でも我が子は可愛いものよ」


 それは知ってる。

 あの団長は息子をボコボコにしながらも最後まで恩情を願い出てたから。まあ、許す訳がない。こっちは義姉上を殺されてるんだ。なんで恩情を出さなきゃいけないんだ。その前によくもまぁ、のこのこと公爵家に来れたものだ。息子のために必死に謝る騎士団団長に、「この親父、煽ってるのかな?」「それとも死にたいのかな?このオッサン」と思った。



『全ては息子を教育できなかった私の責任です』


『息子の代わりに私に罰を!!』


 色々言ってたな。

 結局、親族の者達に息子は売られたけどね。あの時の恨みがましい団長の顔は今もよく覚えている。もっとも、僕は裏切り者とその一族が大っ嫌いだから一族諸共仲良く地獄を見てもらった。本家の息子を勝手に除籍処分した一族たちは「話が違う」「私達は関係ない」とほざいていたけど。あの馬鹿と同じ血が流れているだけで罪だろうに。他者は知らないけど、僕は奴と繋がりのある親族は全て復讐対象だ。一応、騎士団団長の言う『恩情』ってやつを大盤振る舞いしてあげたよ。長く苦しむようにね。あれ?僕って結構優しい。



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