第3話復讐3

 義姉上の嘘の証言をした令嬢達は揃いも揃って下位貴族。家を潰すのは簡単だった。


 荷馬車に女達を乗せ、とある場所に向かっている。

 助けを求めて叫ぼうとする女達に魔術で声を出せないようにした。女達は皆怯えた目で僕を見てくる。


「口の軽い嘘つき女にお似合いの所に向かっているんだ。何処かわかるかい?」


 そう聞くと女達は涙を流しながらふるふると首をふる。


「君達の家は抵当に入っているからね。安心するといい。家と部屋、三食は保証してくれる場所だ。公爵家を謀って義姉上を陥れた慰謝料は家財産を手放しても到底足りない。分かるかい?君達は残りの慰謝料を自分自身で返していくんだ。大丈夫。貴族としてしか生きられない君達にピッタリの場所だよ」


 にっこり微笑むと、女達は更に顔色が悪くなった。おかしいな、癒し系男子と自負しているっていうのに。なかには既に諦めたような顔の女もいた。ブツブツと許しを請う言葉まで飛び交っている。

 バカな女だ。

 許されるとでも思っているのか?

 笑わせる。そんな段階はとっくの昔に終わっているんだ!お前たちに許しを与える存在はもうこの世にはいないんだ!義姉上を死神に引き渡したお前たちを絶対に許さない!!


 グツグツと煮えたぎる憎悪と怨嗟を心の奥底で叫んでいる間に目的地についたようだ。

 

 そこは繁華街の中心。

 

「さぁ着いたよ。ここが、今日から君達の家だ」


 女達に魔術を掛けて娼館の裏口まで歩かせる。裏口をノックすると直ぐに店の主人が出てきた。事前に連絡を入れておいたからだ。

 

「やあどうもどうも、これはまた随分沢山の女性ですね」


 愛想の良い笑顔を浮かべる店主に金の入った袋を渡す。

 

「はい、これでこの女達をここで綺麗に着飾らせて一杯客を取らせてくださいね」


 店主はそれを聞き満面の笑みで受け取る。

 娼館で売り手側が逆に金を払うケースはひとつ。

 彼女達のということだ。彼女達の稼いだ金のおよそ三割を売り手側が受け取る仕組みになっている。この場合、客による身請け話を受けるか否かは店ではなく売り手側にある。

 そう、僕は彼女達を一生ここから出さない。

 身請け?はっ!そんなものはない!!


「せいぜい無駄に回る口で男達を喜ばすんだな。ああ、この場所は咥える方が専門だっけ?君達にピッタリの職場だ」


 絶望に染まる女達に嗤いが止まらなかった。


 嘘をつくのが上手い連中だ。

 さぞかし特殊な趣味の男達を喜ばせるだろう。


 店主にも「虚妄癖のある女達だからを取らせておいてくれ」と伝えてある。


 変態達と仲良くしていろ!!


 


 


 

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