第5話
翌日も同じような依頼を受けた俺は、同じように森の中を進んでいた。すると……。
『ギィ!!』『ギャア!』『グオォンッ!』『ブモオオオッ!』
突然現れた魔物たちが襲いかかってきた。……どうも俺の存在に気付いたらしい。
だが、この程度の相手なら問題無い。襲ってきた魔物たちを一瞬にして斬り伏せていく。……と、ここで奇妙なことが起こった。倒したはずのゴブリンの体が光に包まれたかと思うと、その場から消えてしまったのだ。
「ん?」
どういうことだ? 確かに斬ったはずなのに……。
不思議に思っていると、今度は別の方向から攻撃された。咄嵯に身をかわす。すると、またしても同じ現象が起きた。……これは……そういう事か。
「なるほどな」
俺はニヤリと笑うと、刀を構えた。
「来いよ! 全員まとめてぶっ殺してやる!!」
俺は次々と現れる魔物に向かって走り出し、次々に斬り伏せていった。
魔物が消えた後には魔石だけが残り、それも消えると同時に無くなってしまった。
「ふう、終わったか」
全ての敵を倒し終えた後、俺は一息ついた。
「さて、戻るか……」
俺は踵を返し、町へ戻るべく歩みを進めた。
「なあ知ってるか?」
「何をだ?」
「最近この町に現れたっていう謎の男の話」
「ああアレか。なんでも凄腕の冒険者だって話だろ?」
「いやいや、それだけじゃないんだぜ?」
「ほう、というと?」
「実はな、そいつが例の『黒い悪魔』を倒したって噂があるんだ」
「マジかよ!?」
「ああ、間違いねえ」
「……なあ、その情報って本当なのか?」
「さあな。でも、実際に見たって奴がいるんだから多分ホントだと思うぜ?」
「そうか……」
「それで? その男は今どこにいるんだ?」
「それがよ、今は町にいないみたいなんだ」
「そうか……」
「なんだよ、ガッカリするなよ」
「いやまあ、どんな奴か興味があってな……」
「そうか。じゃあ、俺が探して来てやるよ」
「え? お前が?」
「おうよ!」
「大丈夫なのか?」
「心配すんなって!」
「そうか。じゃあ頼む」
「任せとけ! ……ところで、お前は誰を探してるんだっけか?」
「ほれ、これだ」
「ふむ、なになに? シン・リューベック? 変わった名前だな」
「まあ、偽名かも知れねぇけどな」
「なにぃ!? ……い、いや待て! 落ち着け! まだそうと決まったわけじゃ……」
「……なあ、お前の名前は?」
「あ? ……あー、俺はガリオンだ」
「分かった。じゃあガリオン、頼んだぞ」
「任せろ!」
……………….
「……おい、ガリオン。お前、そのシンって奴を見つけたってのは嘘だろ?」
「バレた!?」
「当たり前だ!! お前、適当に名前言っただけだろうが!?」
「い、いやあ……つい勢いで……」
「全く、そんな事だろうと思ったよ!」
「まあまあ、怒るなよ」
「うるさい!」
「ごめんなさい!」
「……まあいい。それより、これからどうするか考えないとな」
「そうだな。とりあえず、もう少し様子見をしよう」
「分かった。……それとガリオン、そのシンって奴の事は誰にも言うんじゃないぞ」
「分かってるよ」
「本当に気を付けてくれよ? もし誰かに聞かれたら、俺が後で殺されちまう」
「任せとけっ!」
…………。
…………。
…………。
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