街へ4

 自身の分身を創り出せる能力、分体

 これは私の能力を一部持った本体に近い性質を持った分身を創り出せるみたい

 能力制限はあるけど、あの騎士たちを退けるくらいはできるはず

 それにこの分体があるところには、私自身が瞬時に移動できるらしい

 これはかなり使える

 あとこの分体のすごいところは、見た目を変えれるところ

 私が白猫だから、この村に置いておくのは黒猫にしようっと

 

 一週間後

 特にあの騎士たちが戻ってくることはなかった

 私の魅了は二三日で切れるはずだから、もう切れてるとは思うんだけど、まあ来ないならそれでいいや

「よし、準備出来たな。あ、フィオナ、そこのカバンも忘れずにな」

「はーい」

 それぞれの準備が終わった

 これから行く街はここから馬車で一日ほどの距離らしい

 場所は二日に一回この村の東から出てるんだけど、あまり街に行く人はいないみたい

 何せこの村、自給率ほぼ百パーセントだからね

 私は二人に見えないよう分体を創り出してから二人に合流した

 分体はちゃんと猫だった。私みたいに人間の思考を持ってるわけじゃない

 基本自由に動き回るけど、この村を守ってという私の命令にはちゃんと従ってくれるみたいね

「よし、もうすぐ馬車が出るから行くぞ」

 ターナーさんについて私とフィオナちゃんは歩きだした

 乗合馬車だけど私達以外に乗る人はいない

 街についたら三日ほどそこで過ごすみたいだから、私は二人から離れてこの世界についての情報収集かな

 家にあった書物を見るに、一応紙媒体は普及してるっぽいけど、こういうとこの紙媒体って図書館でしか見れなかったり、買えるとしても相当高い可能性がある

 だから図書館に忍び込んでこっそり見るしかないかな


 一日後

 特にトラブルもなく無事ついた

 途中でターナーさんが御者さんにもふるまった簡単なシチューすごくおいしかったです

 そして街はとんでもなく大きかった

「ここはな、副都ヴァラフと言って王都ほど大きくはないけど立派な都市だろ。いつかお前を連れてきたかったんだ」

 ターナーさん説明ありがとうございます

 これだけの大都市で首都じゃないのか

 街並みは全体的に白くてすごくきれい

「宿は前に来た時予約してあるからそこに行こう。ご飯美味しいぞ」

「わーい」

 大きな門から中に入って、そこから大通りを真っ直ぐ進むと、ターナーさんの言う宿があった

 立派な宿

 ・・・。この人仕事何してるんだろう

 とてもじゃないけど、家でやってる農作業で泊まれそうな宿じゃないんだけど

 中に入る

「来たぞティティス」

「お、ターナーじゃん、久しぶりー」

「いや一か月前にあっただろ」

「一か月は久しぶりでしょ」

「まぁそれはいいから、部屋に案内してくれ、今日は娘も一緒だ」

「おお、フィオナちゃんか、大きくなったねー」

「フィオナ、この人は昔の俺の仲間だ」

「あ、あの、こんにちは!」

「はいこんにちは、カワイイねぇ。お姉さんと後で遊ぼうねぇ」

 驚いた。このお姉さんエルフだ。長い耳、すごい、いきなり他種族に会えた

 それにしてもエルフって本当にきれいなんだなぁ

 でも、ターナーさんの昔の仲間って、何やってたんだろう

 このエルフのお姉さん、ティティスさんだっけ

 この人、鑑定で見てみると魔力量がすごい

 あまりプライバシーを見るのは駄目だから、名前と種族、魔力量くらいしか見てないけど、そこら辺にいた魔法使いっぽい人の軽く三十倍はある

 この人がすごいのか、実はこれがエルフの一般数値なのかは、他のエルフを見ないと分からないか

「ほれターナー、カギだよん」

 ティティスさんはターナーさんにカギを投げてよこした

「お、ありがとうティティス」

「あとでねー、フィオナちゃん」

「はい!」

 部屋に入るとターナーさんはすぐに布団にダイブした

「ふぅ、ここのベッドは一流ホテルにも負けないぞ。ほらフィオナもバフッてやってみろ」

「うん!」

 この親子仲がいいなぁ

 私はすぐにでもこの世界のことを調べたかったから、開いてた窓から外に飛び出した

「あ、ミア!」

「んにゃう!」

「ハハ、ミアも新しい土地を見て回りたいんだろう。頭のいい子だから戻ってくるさ」

「んにゃん!」

「ほら、返事してるから大丈夫だ」

「ちゃんと帰って来てねミア」

「うにゃう!」

 よし、お出かけの了承は取ったから、まずは図書館を探そうっと

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