義弟の事が好きすぎて頭がどうにかなっちゃいそうです。

登魚鮭介

第一話 プロローグ 

 お父さんが再婚を考えているらしい。

 私からすれば、高校二年まで男手一つで私の事を育ててくれたから、再婚なんてしないと思ってた。

 でもお父さんが再婚を考えているらしい。

 そんなこんなで、今はホテルでお父さんが再婚する予定の人達と会っている。


「ねえねえ!名前なんていうの!」

さとしです......」

「慧君か!私はいろはだよ!」


 時間が少したって私は気づいた。

 義理の弟の慧君は可愛い。

 二重の目に、少しぼさっとした髪。そして、私の大好きな童顔!

 お義母さんの玲奈さんも美人さんだから、良い感じに遺伝子を受け継いだんだろうな。みたいな感じで。

 かく可愛い。

 自分からはあまり喋ってくれないけど、そこも可愛い。

 きっと恥ずかしがりやさんなんだろうなー。

 でも、私がしゃべりかけるとちゃんと話してくれる。

 今も、頬を赤くしながらも私と喋ってくれてるし。


「慧君は何が好きなの?」

「何って、何ですか......?」

「やってて楽しい事とか、食べ物とか!」

「スポーツは好きですよ......見るのもやるのも」

「スポーツかぁ。私は苦手なんだよね」

「じゃ、じゃあ、いろはさんは何が好きなんですか」

「私?私はね、慧君が好きかな」

「!?!?!?」


 慧君は驚きすぎて顔が真っ赤になっちゃった。


「びっくりしすぎだよー。あと、いろはじゃなくて、いろはお姉ちゃんって呼んでくれないかな。あと敬語じゃなくてタメ口で喋って?いろはお姉ちゃんのお願い」


 私はわざと文末を色っぽく言ってみた。

 効果は抜群だったみたい。

 慧君は頭まで真っ赤になっていた。

 でも、お父さんに怒られちゃった。


「いろは、初対面なんだからやめておきなさい。慧君が真っ赤になっているじゃないか」

「はーい」


 でも、お義母さんが味方してくれた。


「いいんじゃないですか?仲良くして頂いてありがたいです」

「って言われたけど?」

「ま、まあほどほどにな」


 慧君はまだ顔が赤かった。

 本当に可愛すぎる。


 その日の夜


「慧君可愛すぎー!!」


 私は自分のベッドでうつ伏せになりながら、そう叫んだ。


 ***

 あのこが私の弟になってくれるなんて、ちょー幸せものじゃん!

 ***


 そうやって、私が慧君の余韻に浸っている時に、お父さんがドアを開けて入ってきた。


「え!?お父さん!?勝手に入ってこないでよ!」

「ノックはしたんだがな。全然返事がなかったからな」

「え、ほんとに!?ごめん!気づかなかった!」

「ま、まあ話があるんだが、今いいか?」

「何?どうしたの?」


 お父さんにしては珍しく、改まって話を始めた。


「お父さんは、本当に再婚しようと思っている。今日会った、玲奈さんとだ」

「うん。どうせそんな事だろうなーとは思ってたけどね?私は賛成だよ?慧君は滅茶苦茶可愛いし。玲奈さんは美人な方だし。向こう側の二人も賛成なら全然いいと思うよ?」

「それならいいんだが......いや、まあその、お前には『母親がいた』という記憶があまりないんじゃないかなと思ってな」

「......大丈夫だよ」


 ***

 そう。お父さんが言った通り、私にはお母さんがいた記憶がない。

 何故なら私が小さい時に病気で亡くなってしまっているから。

 お父さんはそのことを心配しているみたいだけど、私にはそれ以上に嬉しい事があるから大丈夫だと思う

 ***


「でも、私は弟が出来る事が一番嬉しいけどね!玲奈さんともしっかりやっていけると思う!」

「そうか。なら安心だな。玲奈さんに電話してくるよ」

「分かったー」


 お父さんはそう言って私の部屋を出て行った。

 お父さんが部屋から出て行った瞬間、慧君の事が頭の中に浮かぶ。

 今日、初めて会ったのに滅茶苦茶慧君の事が好き。

 そんな事を考えていたら、いつの間にか寝てしまっていた。


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