泣きそうな君へ
異変は勿論有ったのだ。
嘔吐の回数が多いのではないかと思っていた。それでも元気に飛び回り、ご飯も食べているしろくろさんを見て、元気なんだと、危機感が薄かった。
ある日、普段より少し遅い時間に帰宅した。いつもならお出迎えをしてくれるしろくろさんの姿が無かった。たまには有る事だったので気にせず過ごしたが、ふと減っていないキャットフードが目に入った。心配になりしろくろさんを探す。ベットの下、一番奥でうずくまって居た。呼んでも反応してくれない。
どうしたの?大丈夫?
潜り込んで出そうとするが、気が立って居る様子で威嚇をする。それでも何とか明るい所に出したが、明らかに元気が無かった。大丈夫かなと心配しながら撫でてみたが、腹部に近い場所まで撫でると痛そうな反応をする。外傷は無さそうだった。
僕はこの時点で心配で泣きそうになっていた。
動物病院に電話をするが時間が時間なので繋がらない。ネットで検索をしたが近隣には夜間対応の動物病院は見付けられなかった。
一晩経ってもしろくろさんの様子は変わらない。
翌日朝一番の受け付け時間に動物病院へ。検査を終えて診察室に呼ばれる。血液検査での結果、膵臓と腎臓に関わる数項目が測定値を振り切って測れないほど高いと言う事だった。いわゆるレッドゾーンとの説明。嘔吐は膵臓が悪いとよく有るらしい。猫には元来膵臓が弱い子も多く、腎臓の不調も膵臓由来の可能性が高いとの事だった。恐らく慢性膵炎と腎不全の合併症。痛み止めや炎症止め等の注射をしてもらい、内服薬を受け取り帰宅した。
整理出来無い沢山のタラレバに襲われて頭が上手く働かなかった。
しろくろさんは注射が効いたのか少しだけ元気が出た様子でベットの上に飛び乗って丸くなった。僕もしろくろさんの横に寝転んだ。
包むように一緒に眠った。
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