第82話 イエズス会と南蛮貿易
永禄六年 七月 小佐々城 小佐々弾正
千方が手の者を使って盗ませた、インドの管区長あての書簡(もちろん戻したが)にはこう書いてあった。
インド管区長様
その者、平戸の松浦を屈服させ、再び港として、使ってほしいと申しております。
ドン・バルトロメオの右腕ながら信者にあらずして、その風貌は特徴がなくいたって普通。
しかし全ての宗教に寛容であり、彼の者の領内にて
ドン・バルトロメオも
布教のためには、平戸を横瀬とあわせ拠点として、彼の者に力を貸し領地を広げさせるのがよろしいかと思います。
コスメ・デ・トーレス
宮の村の謀反は氷山の一角だったのだろう。小規模ではあるが、大村領内各地で仏教徒対キリシタンの衝突が起きている。
領主の純忠がキリシタンの肩を持つから火に油を注ぐ。これでは、いつか必ず大規模な国人領主の造反が起きるぞ。
バテレンの考えは……なるほど。予想通りというか、望むべき方向に動いているようだな。
現世の世界情勢を知るのも大事だからね。通訳を育てていてよかった。ちなみに中国語と朝鮮語はもともといた。
さて、横瀬浦で何度かアルメイダとトーレスには会っていたが、正式に領主として引見した事はなかった。
純忠が窓口になっている以上、今はまだ、表立って引見するのは止めておこう。純忠を怒らせるだけだ。
ただ、この現実は俺にとっては追い風だぞ。
イエズス会つながりでスペインに渡りをつけられないか? 同じイエズス会でも、そこは国の利権が関わってくるから難しいかな?
どっちにしても9年後の1580年にはポルトガルはスペインに併合される。
すでに1543年に小笠原諸島がスペインによって発見されているし、3年後の1564年にはフィリピンの領有を宣言する。
そして1571年にはガレオン貿易が始まる。だから、物理的には可能なはずだ。
俺的にはキリスト教はどうでもいいから、そもそもすっとばしてイギリス・オランダにいきたい。
でもオランダはまだスペインの統治下だし、イギリスがスペインの無敵艦隊を倒すアルマダの海戦も、まだ20年先だ。
こればっかりはどうにもならんかな? 向こうに強力な転生人でもいなきゃね。
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