プレイヤー・キル-2

※流血などの表現が伴います。苦手な方はご注意ください

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――アビリティ《ダッシュ》


 体術スキル、レベル2で解放される技。


 STスタミナを消費して、短距離を高速で移動する基礎技能。


 いつまでも背後を取られているのは気分が悪い。


 僕は《ダッシュ》を発動し、ダレンとの数メートルの距離を一息に詰める。


 そして、鞘から抜いたアイアンソードを、彼の右脚に振り下ろした。


「……あ? ‼ ッッッ――⁉」

「ひぃ⁉」

「やりやがったな、このガキ‼」


 会話に意識が向いていたのもあって、ダレンは僕の攻撃に反応することなく、右脚を失った。


 大柄の癖に、脚を切断されたダレンは、痛みで情けない叫び声を上げる。


 腕も要らないな。


「ひぎゃあぁぁ‼」


 脚を押さえるダレンの左手首を刎ね飛ばす。


 腕が二本あると、ある程度自由な行動が取れる。


 痛みも相まって、これで少しは大人しくなるだろう。


 さて――


 振り向くとジョーは突然の目の前の光景に驚いている様子だった。


 そしてジェームズは、剣を抜いて突進してくる。


 ジョーは完全に腰が引けている。


 これなら後回しでいいだろう。


 先にジェームズの方から対応する。



――アビリティ《スラッシュ》


 【片手剣術】レベル1で解放される剣技。


 その効果は、STを消費することによって【攻撃力の110%の斬撃攻撃】を放つというもの。


 【剣術】や【片手剣術】のスキルレベルが上昇することで倍率は変わるので、扱いやすいアビリティでもある。


 現時点で、僕の放つ《スラッシュ》は【攻撃力の170%の斬撃攻撃】。


 ただ、アビリティを使う理由は攻撃力じゃない。


 剣技のアビリティには、システムにより斬撃の軌道とスピードが補正される。


 よって、予備動作を見た瞬間に回避行動を取るか、剣技で対抗しなければ、ほとんどの場合で先制の必中攻撃となる。


 薄青いオーラを纏った僕のアイアンソードが、鮮やかな軌跡を描く。


 そして、斬りかかってきたジェームズの【アイアンソード】ごと、彼の右腕を袈裟切りに斬り付けた。


 噴き出す血飛沫。


 宙を舞う右腕。


「お、俺の腕が⁉」

「ひぃぃっ‼」


 腕を抑えて喚き散らすジェームズ。


 逃げられると面倒なので、両脚を切断する。


 残るは一人。


 いつの間にか逃走を計ったジョーは、茂みを掻き分けて進んでいく。


 ステータス的に、今から追い付くのは骨が折れる。


「何だよ! こんなことになるなんて聞いて――いいっ⁉」


 僕の投げた解体用のナイフが、彼の肩に命中した。


 前のめりになって倒れるジョー。


 その間に《ダッシュ》で追い付き、彼の足と左手首を切断する。


 これで三人は無力化できた。


 ただ、このまま三人を殺してしまうのは愚策。


 それだと、僕の冒険者ギルド登録は抹消され、王国内で指名手配を受けることになる。


 よって、ひと手間かける。


「痛ぇ、痛ぇよ……」


 藻掻くジョーの髪を掴み、二人の所まで引きずる。


 スキル取得によるSTR補正で、大した苦労もなく運ぶことができた。


 そして痛みに呻く三人に対し、僕は平然と言い放つ。


「今から1つのゲームをします」

「……ゲームだと?」

「クソガキが‼」

「五月蠅いですね」


 話に割って入ってくるジェームズの顔面に蹴りを入れる。


 勿論、狙うのは顔の中央。


 血が滲んでいた湿布はさらに赤く染まり、ジェームズは静かになった。


「簡単なゲームです。ダレンさんとジョーさん、二人にはチャンスを与えましょう」

「チャンス……だと?」

「ううっ……」

「はい、チャンスです――ジェームズさんを殺してください。そうすれば、お二人を助けましょう」

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