第19話 暗がりの中に見つけた黄昏の旅路(ᛏᚹᛁᛚᛁᚷᚺᛏ)
喫茶ノインを訪ねたヴァイロ・カノン・アルベェリア。
店主であるシアン・ノイン・ロッソの
暗黒神の正装──とはいえ、普段通りの姿なのだが、テンガロンハットを脱いで深々と謝る。
目前で
その態度を
ボーイッシュな顔立ちに赤みが差す恥ずかしさが尾を引く、さも可愛らしい
「ま、待ってくれ。お前程の男が、そう
見えない圧力を感じるシアンがカウンターの奥深くに沈む。
店主として数々の男共、何なら同性者さえ
「俺の頭なんか雲の様に軽いもの、
「わ、わっ判った! は、……話を進めよう。
声が
カウンターの中に座り込み、何かを探す様子をみせる。余程の
「これは
新たに
「此方こそ色々驚かせて済まない。ノヴァンを
「……」
シアンが『座ってくれ』と懇願したにも関わらず銀髪を下げたまま姿勢、話の流れとはいえ
困り果てた
自分が何故シアンの
「要は犯人探しを俺は
シアンは少し昔の
「成程……
処でこの場に居ないアギドだが、ヴァイロの来訪理由をまるで知らない態度を
「然しだ……何故そもそも私を
「これは流石に
頭を上げカウンターの椅子に戻りながらヴァイロの失笑。『君等の怪盗ぶりが目に余るほど完璧過ぎる』
「一応友人として
これにはシアン、
なれどそんな後悔よりも、仮にも神と
「これは手痛い。だが私の
木目を活かした
全てをヴァイロから見透かされたシアンの不思議な上機嫌。
他の客人には決してみせない緩んだ自分に気づいていないのだ。
ヴァイロは
──この男がこんなに困った顔をするのか……知らなかったな。
シアン・ノイン・ロッソ──。
ヴァイロが中々語らぬが故、訪れた沈黙──。
此処で
元々貸し切りだったといえ、店の看板を『CLOSED』に返す。加えて店の入り口を
薄暗くなるかに思えた店中に夕刻の日差しが
「ンッ……」
シアンがエプロンを解き、営業向けの白いYシャツを突然脱ぎ出し、ヴァイロの
黒Tシャツ、大きく胸が
自分が飲む為の珈琲を
夕陽に照らされ煌めく
「余程、言い辛いらしいな……。あ、店か? 今日はどのみち貸し切りだ。余程大事な話なのだろ?
紫色の髪を
此処から先は店主と客人でなく、ただの友人同士で在りたい気持ちを
「──悪夢を見た、俺の大事な弟子達が皆殺される最低な夢だ」
「ゆ、夢?」
ヴァイロが一呼吸置いた後、例の夢語りを始めた。
自分の大切な
悪夢とはまた意外だと思ったシアンだが、ヴァイロの苦み
ダンッ!
「然も夢に現れた
溜め込んだ
珈琲の香りを嗅いだ後、言葉を選びながらシアンがゆっくり
夕陽は既に落ちていた。二人の想いを映し出したかの様な暗がり。されど人の心を開き繋ぐには優しさ揺らぐ位が丁度良いのだ。
ゆっくり立ち上がりヴァイロの隣に座り直したシアンが良き友人の肩を優しみ込め抱き寄せた。
「お前の可愛い子供達だ、悪夢を現実にしたくない。──それは痛いな、判る……と云うのはおこがましいが」
シアンの体温と、穏やかかつ頼もしさも感じ取れる声音がヴァイロの凍りついた心を徐々に溶かしてゆくのだ。シアンの
「恐らく女神に
ヴァイロ、己の発言が意図する処に
やはりシアンはそんなヴァイロに優しく接した。泣きべそかいた子供をあやす様に背中を幾度も柔い掌で叩く。
「それが
ヴァイロ、
刺された様に痛いと感ずるシアンの想い、内心嫌いじゃない目。それでも自身が置かれた立場を伝えねばならぬ残酷。
「愛する夫こそ失ったが今の私は母親なのだ。まだ2歳──置き去りに戦場を駆ける訳にはいかないんだ……」
シアンの応え、ヴァイロも当然知り抜いていた。
然し『それでも!』なる想い
彼女の幸せを自分が
ファサァ……。
「し、シアン?」
「カノンと此処フォルデノ王国は隣国、お前達を助けなければ此処も危ない。……そういう事
決して抱くに在らず──。
後ろから弱気な黒い神様をフワリッと包み込んだシアン、耳元で
──ヴァイ。フフッ……つくづく黒が似合わない男だお前は。私には
「喫茶『ノイン』は
声音が変じた訳ではない。だが喫茶店の
🍸『喫茶ノイン』今宵はアナタのために貸し切りです、どうぞ此方へ🍷
Italian:Benvenuti alla notte riservata del Caffè Noin.
https://kakuyomu.jp/users/Wolf_kk/news/822139842110367911
🪄︎︎─Saga "Vairo" et "Edius"— ACT19 Ending
ᛋᚺᛁᚨᚾ(Shian):"Will you be my star?"
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