1つしか選べないなんてことない、むしろどちらも失ってはいけない 「Get over it.」感想

 何かを成し得るためには何かを切り捨てなければいけない、よく言われます。しかし、実際には切り捨ててはいけないものが複数あることも多いものです。今回は2つの想いです。

 最初はもう一度4人でいるために始めたバンド。志歩の夢「プロとして誰かの心に響く演奏をする」が4人の夢になりました。そして今回、初のワンマンライブを成功させ、いよいよ所属が決まる、夢への扉が開ける…しかし咲希は喜びより不安を抱きます。レオニの先を走ってきた実力者たちから聞いたプロとしてのバンドの現実と覚悟、それが自分にあるのか。


 咲希は仲間に怖いと思ったこと、一番は「音楽を届けたい」ではなく「みんなと一緒にやること」と思っていると素直に打ち明けます。穂波も一歌も、みんな一緒にやりたい気持ちも怖い気持ちもあると言い、志歩は「どちらも同じくらい大切だけど、何が正しいかは進んでみないとわからない」、そして「みんなをことを信じている」と言います。 

 折り合いをつけたつもりだった咲希。しかし、待ちわびたはずのデビューの連絡を受けても喜べませんでした。不安なまま進むしかないのか…帰りにみんなと別れた後、所属先になるであろう事務所の真堂さんに出会います。軽い会話から咲希の迷いを察して、話を聞く時間を取ります。穂波大活躍イベスト「Little Bravers!」でも隠さずに伝える誠実な大人だと思いましたが、やはり良い人です。


 咲希の迷いを聞いた後、真堂さんは「どこにでもいるバンドの話」を語ります。もちろん、これは自身の経験でしょう。学生の頃に仲の良かった奴らが集まって始めたバンド、学生の間にデビュー、そしてギターボーカルとベースのみ大手事務所からの引き抜き打診。ベースは仲間と居たかったが、ギターボーカルは移籍してより多くの人に音楽を届けることを選び、バンドは解散。しかも、そのギターボーカルもうまくいかなかったというのが虚しく現実的な話です。 

 "音楽を届ける"と"一緒にやる"、「バンドにとって大切なのは、その比重ではなく、そのどちらも、失わないこと」。真堂さんが咲希に伝えた言葉は、バンド以外の集団にも言えることだと思います。そして、どちらも持っている咲希さんは大丈夫、そのバランスがLeo/needの音楽の本質で自分はそれが好きだと思って声をかけた、相手の不安に寄り添いつつ自分の経験と思いを言葉にのせるめっちゃ良いアイメッセージ(私主体の言葉)だと思いました。

 "Get over it"の意味は「乗り越える」、咲希は大きな不安を乗り越え大切な信念を得ました。どちらも想いも大切にして、Leo/needは新たなステージへ歩みを進めます。


★本感想のゲーム画像あり版はnoteで公開中:https://note.com/gakumarui/n/n6e4a23f06137

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