幼少期の特別な居場所には価値がある「Never Give Up Cooking!」感想

 冬弥がなぜ司先輩を過剰なまでに慕っているのか、今回のイベストで「これは尊敬するなあ」と思いました。

 幼少期、厳しいクラシックの英才教育を受け、誰かと遊ぶ機会がなかった冬弥。そんな中、たまに預けられる天馬家で、司は冬弥を笑顔にしようとショーをしてくれました。いつしか天馬家は「ほっとする気持ちにさせてくれる場所」として、冬弥にとって大事な場所になりました。


 幼少期のたまに行く場所は、記憶に深く刻まれます。特に保護者や幼稚園や学校とは違う人々の元で過ごす場所、例えば預けられた親戚の家や通った習い事など。残念ながら、悪い思い出として残ることも少なくありません。 

 しかし、かけがえのない経験や感情を与えてくれる場合もあります。保護者や先生以外の人が与えてくれる優しさや安心感、これは今後の価値観・他者との接し方にも大きく影響します。厳しい家庭が安心できる場所ではなかった冬弥にとって、天馬家の存在は大きな価値がありました。その思い出は成長しても財産であり続けます。


 天馬兄妹への感謝を込めたホワイトデーの贈り物に、類への相談を経てカップケーキ作りに挑戦しますが、経験値はゼロで上手くいきません。セカイでお菓子作りの出来る人に助言を求めますが、同じく経験がないのに妙に自身のあるミクがまさに安請け合い。先輩らしく振る舞いたいが恰好がつかないことの多いレオニミク(ミクぴょん)が典型ですが、バーチャルシンガーも弱い所があったり共に成長していく面もあるのがいいですね。楽観的で自信家なのはビビミクさんの長所でもありますが、今回は悪い方に働いてしまいました。冬弥の素直すぎる所と相まってとんでもないものが完成します。

 味見役を買って出た類の思考が面白かったです。とんでもないお菓子を思考では克明に分析し言語化できているのに、冬弥には「とても個性的な味」という最大限オブラートに包んだ伝え方。冬弥のあまりに実直な姿勢からか、自分がきっかけになったからか、めちゃくちゃ言葉を選んでいました。ただ、そこから冬弥を励まし、天馬家への思い出の話を引き出して思いを再確認することで勇気づけたのは流石です。


 今度はお菓子作りの得意なカイトに助言を受けながら挑戦。経験者は失敗の典型例もよくわかっていますから、どう失敗したか聞けば何に注意すればいいか適切な助言ができます。当日には美味しいカップケーキが無事完成して渡すことができました。

 ドタバタもほんわかも、冬弥の実直さが全面に出た素敵なイベストでした。


★本感想のゲーム画像あり版はnoteで公開中:https://note.com/gakumarui/n/n22781a1c2a62

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