#08 クラスメイトとの帰り道
放課後、帰り道。
俺は二人の同級生と一緒に駅へ向かって歩いている。
一緒に居るのは、今日初めて会話して小学生からの同級生であることが判明したランちゃんと、ランちゃんのお友達。このお友達さんの名前は知らないが、この子も同じクラスメイトである。
彼女たちの事情は把握してないが、察するに恐らく二人はいつも一緒に帰っているのだろう。気を許し合ってるような二人の間の空気感がそう感じさせる。
そして、その仲良し女子二人組に加わった異物が、俺だ。
客観的に見たら、中々へんちくりんな組み合わせだと思う。
ランちゃんは見た目を一言で言えば、ギャル。しかも、アウトロー系の。
髪は銀色でクルクルしててまつ毛ビンビンに耳にはピアスがずらり。
身長は俺より数センチ高くて、制服は着崩しててスカートも超短くて、そして喧嘩とか強そう。
あと、ウンコが太そう。
もう一人のお友達さんは、見た目を一言で言えば文学少女っぽい。図書室とかに居そうな子だ。
髪は黒くて肩までの長さでストレートで、制服は校則守ってキチンとしてて、大人しいそうというか清楚な感じ。
身長が俺よりも小さくて、普段教室で騒いでいる姿を見た記憶は無い。
ウンコとかオナラとか無縁な感じがするな。実際はドッチもするだろうけど。
全然キャラが違う二人だが、二人ともそんなことは全く気にしてない様子。 そこに、汗かきぽっちゃりさんの俺が加わり、3人パーティーでの帰り道だ。
ランちゃんが俺に対してしきりに話題を振ってくれるので俺も会話に入れてて仲良く一緒に帰る3人組の様に見えるが、もう一人のお友達さんはチラチラと俺の事を気にしつつも、自分から俺に話しかけて来ることは無かった。
というか、これが普通の対応でランちゃんが特別フレンドリー過ぎるだけなんだろうけど。
「でさ、内角低めばっか狙ってくるしさ、めっちゃ頭きたけどカットで粘ってたら10球目で遂に失投来たの!」
「ほうほう」
「で、どうなったと思う?」
「フルスイングで打ったはいいが、リキんで打ち上げてしまってライトフライか?」
「惜しい!セカンドフライ」
「なるほど。 で、結局試合は負けたと?」
「いや~それがね、最後最終回裏でウチの4番にデッドーボール当てやがったから、ベンチ総出で大乱闘で没収試合」
「なんだと!?ガールズでも乱闘なんてあるのか!?」
「ね?ウケるっしょ? ミヤっちなんて相手のキャッチャー、ジャイアントスイングでぶん回して退場喰らってたしね!」
「あのブス、私がバッターボックスに立つ度にぶつぶつ囁いててムカついてたから、潰すなら今しかないって思った」
「そ、そうか。試合中にそんな大技繰り出すとは、ちょっぴり見てみたかったかも」
「・・・」フフフン
ミヤっちと呼ばれているお友達さんは、俺が感想を述べても無言で返事はしなかったが、何故か得意げな表情だ。
それにしてもこのミヤっちさん、見た目に反してかなりのパワータイプの様だな。
この子も特殊スキルの持ち主なのか?『
「でしょ?あんみつも今度おいでよ!河川敷のグランドで隔週土曜の朝からやってるし!」
「ガールズのチームなら男の俺は試合に出れないし、乱闘になっても女子には暴力振るえないから何も役に立てないぞ? まさか、ランちゃん、貴様、俺をパシリにするつもりか!?それとも呼び出しておいて実は誰も居なくて一人で茫然としている姿を物陰から観察して笑うやつか!?」
「そんなことしねーし。私とミヤっちの活躍するとこ見せたいだけだし。ね?ミヤっちも来て欲しいよね?」
「ホームラン、打つ」
なに!?ミヤっちさんは俺が応援に駆け付けたらホームランを俺の為に打つとでも言うのか!?
ランちゃんといい、ミヤっちさんといい、今日はどうしたんだ!?何が起こってるんだ!?
今まで誰も俺の事なんて見向きもしなかったし、まだヒーローとしての活躍もしてないというのに・・・まさか、俺に魅了の魔眼でも覚醒したのか!?
しかし、動揺している姿を見せるのはヒーローとして格好悪いので、あくまでクールに返事をした。
「そうか、では前向きに検討しよう」
「おっけー!勝ったらジュースおごってね!」
「私、レッドブル」
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