第42話、大妖性再び
───聞こえるか、貞男よ……。
(その声は……もしかして……!?)
覚えておったか、我は大妖性【デカスギ・マラトン】……貴様の先祖だ。いや、先祖というのは……嘘だ。
(嘘だったの!? 正直安心した……)
安心するな……。癪に障る。
(ごめんなさい……。それで、先祖じゃなかったら一体……?)
我は貴様らが言う【貞力】そのもの……武甕セイナに力を与えた上位存在だ。
(上位存在……?)
そうだ、我はこの大宇宙を統治するのが面倒くさくなって……各々の銀河に神を置くことにした。その結果セイナは暴走し、太陽系は消滅した。
(なんて酷いことを……!?)
すまない……。しかもそれだけではないのだ。【貞力】が全宇宙に散らばった影響で、全宇宙のエネルギーの総量が著しく増加しておる。このままいけばセイナは、天の川銀河……いや、この次元の宇宙そのものを破壊してしまうだろう。そして、彼女自身も消滅してしまう。
(そんな……なんとかならないの!?)
幸い、貴様の力も【性杯】だな……。【性杯】の力が二つ合わされば、この状況を何とかすることができる。
(ど、どうやって……!?)
相手の【性杯】に貴様の持つ願いを全てぶつけろ。全性力を持って、これをセイカにぶつけるのだ……。貴様の願いが届けば、この次元の全ての【貞力】は貴様の【性杯】に飲み込まれ、霧散することだろう。
(……やらなきゃ! でも、今ボクはどうなって……)
今、貴様はアカネをコピーしたセイナに吹っ飛ばされ、気を失っている。
(早く起きなきゃ……!?)
まぁ待て……。そのまま目を覚ましたところで勝てぬだろう……。貴様に勝つ術を託してやる。
(勝つ、術……?)
そうだ……。正確に言えば【貞力】を溜めるだの練るだの貴様らが言っていることの真実だ。
【貞力】は「欲望」の力……。貴様にとって最大の欲望はなんだ、性欲か?
(否定できない……)
そこは否定しておけ……。ともかく、今の貴様にとって、一番大事なもの、望んでいるもの……それを思い浮かべるのだ。まぁ、それがエロなら構わんが……。
(ボクの、望んでいるもの……?)
さぁ、もうすぐ目が覚めるぞ。目の前の敵から決して目を背けるな。自分の本心から決して目を背けるな───。
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