合格ライン

列車Aが駅のホームにすべり込むとき

反対側のホームから

列車Bがすべり出した


列車Aの中の人は自分たちが

まだ立ち止まっていないのだと

錯覚する


列車Bが長ければ長いほど

錯覚する時間は長くなる



私が列車Aにいるならば

きっと止まってしまったことを

永遠に受け入れられないだろう


あのラインよりは前に行きたい

あと少し

あと少しだけ動け


あのラインまで動け


まだ動いている


進め進め進め


『ガクッ』


まだ動いている

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