第5話・過去編・俺は職業【読者家】を授かった話(妹を添えて)

 今から俺のいやその時の一人称は僕だったから僕の昔話をしよう。

 昔話と言ってもそんな大層な物ではない俺がいや僕が読書家という職業を授かり司書という仕事についたわけだ。


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 僕は読書が好きだ。

 とある王都の城下町、司書の夫婦の間に生まれた僕は物心ついた時から本が好きだった。

 多分両親の影響は大きかったと思う。

 二人とも本が好きで司書となり本好きという趣味が合い結婚した生粋の読書家だった。

 そんな夫婦の間に生まれた僕が本好きになるのはある意味当たり前、至極当然な事だった。

 そんな僕の生活のサイクルは5歳ごろからこんな感じになった。


 朝早く起きて家族皆でご飯を食べて一緒に両親の職場である国立図書館に行く。

 国立図書館に着いたらお父さんは司書として本の整理整頓をお母さんも司書として本の貸し出し処理を、僕は椅子に座って本を読む。

 たまに小さい子というか6歳の時とかは僕も小さかったけど、本の場所が分からずに困っている子供がいたら本の場所を教えてあげたりした。そんでそれが終わったら本を読む。

 本を読んで読んでひたすらに読みまくった。

 僕は色んな本を読んだ。

 冒険譚・童話・歴史書・数学書・魔物図鑑・魔法書・武術書・植物図鑑・武器図鑑・貨幣価値について・恋愛小説・勇者召喚について・毒物の作り方・世界のなりたち・神話・魔王について・様々な物の作り方・人との会話の仕方・大人な恋愛小説・様々なスキルについて・マッサージについて・様々な職業について・亜人について・人間の体の構造について・英雄譚・国のなりたい・戦争について・戦略書・軍略書・薬制作本・魔物の生態について・禁忌の力について。

 それはもう色んな本をジャンル問わずにひたすらに読み漁った。

 読み漁って読み漁って。そんな生活を10年続けた。


 そして15歳になった日、僕は神様から職業とステータスを授かった。

 職業、それは神が人間に与えた恩恵の一つ。


 その人の15歳になるまでの15年間の人生を神様が確認し判断をして、それに沿った職業を授けるという物。


 例えば王様の子供なら15年間ずっと王になる為の教育を受けさせられ、職業【国王】を獲得するように育てさせられ、実際に職業【国王】を授かる。

 農民の子供なら幼い頃から畑仕事を手伝ったりし、結果職業【農民】を授かる。

 そうして職業を与えられると人はその職業に沿った行動を行う、もしくは魔物を討伐することで経験値を獲得してレベルを上げることが出来る。

 レベルが上がると職業に沿ったスキルを獲得出来、ステータスと呼ばれる物が上昇してHP・MP・攻撃力・物理防御力・魔法防御力・魔力・器用の項目が上昇する。


 そんなわけで僕が授かった職業は【読書家】だった。

 この職業を授かった時は余りにも予想通り過ぎて拍子抜けした。ただまあ、僕はこの読書家という職業を普通に喜んだ。


 理由は司書になって禁書庫に入れるからだ。

 禁書庫とは禁忌の本と呼ばれる死者蘇生や死霊魔法についてキメラについてホムンクルスについて拷問について等々、一般の人には見せられない本が納められた場所だ。

 その本の数は何と1万冊以上。

 読書家である僕からしてみれば超読みたいの一言に尽きた。


 まあ、禁忌の本だし書かれている内容を実践するつもりはないけど、普通に面白そうだから読んでみたかったのだ。

 前、偶然普通の本の棚に死者蘇生のやり方・前という本が紛れ込んでてつい読んでしまった時マジで想像を絶するレベルで面白く惹かれてしまったという理由もあるので禁書庫の方には続きである中・後・破があるらしいからマジで読んでみたい。


 そしてそんな読みたい本が置いてある禁書庫は司書となれば自由に入れるようになるのだ。

 司書になる為の条件は3つ。

 一つ目は確かな身元保証人がいること。これは現在司書である僕の両親がいる。

 二つ目は国立図書館の本の位置を8割以上暗記していること、8割と言わずに全部暗記している。

 そして最後が職業が本に関係するものであること。

 以上この3つである。


 因みにだが普通に条件はキツイ。キツイというか普通はなれないだろってレベルで難易度が高い。


 まず一つ目の確かな身元保証人、これが貴族や王族もしくは長年司書を務めた者、後は英雄やSランク冒険者といった人達のみが対象である。 

 そんでもって身元保証人ってのは何かその人が問題を起こした時にその責任を身元保証人が負うことになる。だからよほどの信頼関係がなければまず貰えない。


 更に二つ目の条件。

 これもかなりきつく、国立図書館の本。大体100万冊あると言われる本、その場所の8割だ。控えめ目に言って頭がおかしい。普通は無理だと思う。


 ほんでラストの本に関係する職業であるというのもかなり難しい。

 この本系統の職業になるには本に囲まれる生活を幼少期からしなければならない。そんな生活をするのは一般市民とかはほぼ不可能だし。貴族とかも貴族という職業を授かるために行動を強いられるから本系統の職業を授かるなんてない。

 そんなわけでそんな超難しい司書になれた僕は司書として優雅に楽しく本に囲まれながらしっかりと仕事をして、空いた時間に本を読んでという最高に幸せな生活を送りました。


 めでたしめでたし。


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 まあ、以上が僕がいや俺が読書家という職業を授かった経緯と司書という職業についたわけだ。

 因みにだが司書という職業は基本全て国の管理下にある図書館で働く者に使われる名称であり、立派な国直属の職業であり給与もかなり良い、普通の仕事の5倍くらい良い。


 それに国立図書館には貴族の方やSランク冒険者が来たりもするから、そういった様々な方面への伝手を作ることも出来る。

 なる条件がめちゃくちゃに厳しいがかなり人気の職業である。


 それに業務内容は基本的に本の整理整頓と本の貸し出し処理に本を探してる人がいたら教えてあげるという3つくらいだ。

 まあ、もちろん他に新刊が入ったら水晶玉に登録したり本が破れてたら職業【本修復者】の人に直してもらったりもするが、俺は時空魔法・時戻しを使って一人で簡単に直している。


 まあ、そんなわけで仕事は楽だし好きなだけ本が読めるし給料も良いし色んな本が読めるし、まあ控えめに言って最高の職場だ。俺にピッタリだ。


 俺は司書になれたことを心か嬉しく思うし、これからもずっと司書として働いていくつもりだ。

 因みに俺の両親はもちろん司書として今もバリバリ働いている。

 ただ俺の両親は仕事ぶりが認められて貴族や王族、後は超絶的な才能を持った人のみが通える、英雄学園という所の司書を二人で仲良くこなしている。給料は以前の倍以上に上がったらしい。


 といっても良心とは同じ家に住んでいるし、毎日顔を合わせて朝食と夕食は食べている。仲も非常に良い。

 後はまあこれは蛇足かもしれないが、一応俺には一人妹がいる。

 年は16歳であり、俺が4歳の時に出来た妹だ。俺と違って本はあまりというか全く読まずに身体を動かして魔法を使うのが好きな元気な妹だ。名前はマリアという。

 今現在両親の職場である英雄学校の高等部2年として通っている。

 与えられた職業は【魔剣士】という戦闘職の中でも上位に君臨する職業であり、かなり強く高等部2年の中では3番目に強いらしい。

 将来の英雄候補にも挙がっている。


 といっても俺には到底及ばないけどね。

 というか俺よりも強い存在いないと思うけど。ただまあ、妹の仲あまりよくはない。

 というか俺は基本ずっと本を読んでいたいし、妹はずっと外で友達と遊んでたから、それはまああまり仲良くはならないかなって話だ。趣味が絶望的に合わない。

 まあいうてもたった一人の妹であり大切な家族だから何かあったら俺の持つ全ての力と人脈を持ってして妹を守るつもりではある。


 我ながら甘いな。


 以上、これが俺の軽い昔話だ。

 一応他にも冒険者ギルドSランクにして世界最強の冒険者【不可視の不可侵略】として活動するに至った経緯や、俺が龍王殺しを成し遂げた話や世界を滅ぼさんと企む魔王を殺した話、そのまんま流れで魔王になった話や、エルフ国や獣国を救いだし神として崇められてる話や、色々な過去話はあるが、それはおいおい何処かのタイミングで話していくとしよう。




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