デスゲームに参加させる為に拉致して来た奴が不死身のヒーローだった件
南米産
第1話 ウルトラハッピー☆ランド
【ホウジョウタカネ】
日本の地下666メートルには選ばれた者だけが入れる巨大テーマパークがある、当然そんな所にあるのは普通のテーマパークではない。秘密裏に建設されたそれは、人が人を殺すのを眺める為のデスゲーム娯楽施設だった。
デスゲーム、それは命を賭けた遊び。人の命をなんとも思わない観客を楽しませるための
人が死ぬところを見るのは楽しい。悪趣味かもしれないが、これは確固たる事実であるのでもうどうにもできない。人が撃たれ、焼かれ、
しかしだからと言ってこんなものによくもまあ大金を払うものだと思ってしまう。高級ワインやウイスキーの入った透明なグラスを持つスーツ姿の紳士、ドレス姿の淑女達を見るたびに思うのだ、他にやることはないのかと。
いくら楽しいと言ってもこれではどう考えてもリスクの方がでかすぎる。ばれた時のデメリットが
あの特等席で自分の嫁以外の女とイチャついている国会議員はそんなことも分からない位のマヌケなのだろうかと私は思う。危機管理がなっていない、ここでのことは公言されたりはしないがこの調子では上に戻った時にも同じことを繰り返すだろう。
私はただのデスゲームの監視員。ホウジョウタカネ、今年から高校生活二年目になるはずだったのにこんな場所に居る平均的デッサンの女だ。私は9000人いる監視スタッフの一人でしかない、ただの時給制のパート待遇だ。
そして今日も目の前で
やはりデスゲームはマスコットがいないと始まらないと言っても過言はない。
三三三が目の前の命令を守らないと爆発するデス首輪を装着した赤色のパーカーを着た比較的特徴のない若い男に話しかけた。こういった人物は大概最初に死ぬ。
「貴方の首輪には爆弾が仕込まれていますデス」
「なんだって?」
「助かりたければ、ゲームをしましょうデス」
「おい、爆弾つったのか?」
「そーデス、爆弾デスよ。首に巻き付いてるそれが……」
「いったいなんなんだこの状況は!」
「今から簡単なゲームをするんデスよ、目の前にある迷路を突破出来たらあなたは自由の身デス」
「どうしてこんなことをするんだ!」
「……それは自分の胸に聞いてくださいデス、思い当たるはずデス」
三三三は形式上毎回これを言うが大抵相手にそれらしい過去などはないし時間の無駄なのでこちら側も調査をしていないが、ただそれらしいことを言っておけば相手は勝手に解釈してくれるのだ。それに調べようと思えば一瞬で調べられる、そういう人員も道具も十二分に揃っている。
「いや、マジで覚えがない。ここはどこなんだ、オレは家に帰る途中だったんだ」
「いまはゲームの参加者デス」
「そんなのしらねーよ、オレはただの一般人だ、はやく解放してくれ」
「ゲームに勝てば解放されますデスよ」
「いやだね! 拒否する!」
「では首輪を爆破するとしますデス、いいんデスね。ほんとーにボンッ! デスよ」
「やってみろこのやろう!」
「……さよならデス」
会場にはあちこちに収音マイク付きの監視カメラが設置されていて、物陰に潜むのが得意な三三三にもその機能が
「うわあああああ! 人が死んだ!」
「きゃあああああ! たすけてええええええ!」
「さあ、みなさんあわてず騒がずとっとと迷路に向かってくださいデス、この男のように死にたくなければね! ミーンミンミンミン!」
ゴキブリのくせにセミのような奇怪な笑い声をあげながら、参加者たちを迷路に追いやるお馴染みの展開で参加者たち十三人は急いで迷路の中に入っていった。
ここは、この瞬間の為に建築された製作費一兆と二千億円の超デスアトラクション複合施設ウルトラハッピー☆ランド。
地下666メートルに存在し五十キロにも及ぶ広大な空間にありとあらゆるデスゲーム施設が詰め込まれている、その中のひとつ絶対脱出不可能とされる大迷宮、ミノタウロスホール。攻略に必要な予定時間はおよそ三日間。
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