ブレイド・ロー

二髪ハル

プロローグ

つばさ。翼起きて! もう放課後だよ!」

「……んっ」

 まだ眠い……。

「あと五分ぐらい寝かせてくれよあかね

「放課後だって! 五分なんて寝てたら夕方になっちゃうでしょ!」

「……眠い」

「ほら、眠いなら帰ろ。ほら鞄持って」

「うい……」

 茜が俺の鞄を持たせてきて周りを見るとクラスメイトがいなかった。

「もう帰ったのか……」

「そうだよ。午後の授業もずっと寝てたけどゲームしてた?」

「かも、しれない」

「なんのゲーム?」

「女の子とデートするゲーム」

 いわゆるギャルゲーだ。実際に彼女が出来たことがないけど。

「……そういったゲーム好きだね。それじゃあ私と一緒にデートしよ」

「喜んで」

 一緒に校門を出て下校した。

 河川敷を歩くと風に当たり眠気がなんとなくスッキリとしていく。

 一応説明すると俺、石田いしだ つばさ。なんの変哲もないごく普通の高校生。

 そして隣で歩いているのは武藤むとう あかね。小さい頃からずっと一緒に居る。なにかするわけじゃなくずっと一緒にくっついているいわゆる幼馴染だ。

「これから翼の部屋で何して遊ぶ?」

「……なんのゲームやりたい?」

「クルマ運転するやつやろ! 今日は勝つから!」

 物凄い目でキラキラと輝かせていた。

「いいよ。プリンも食うか?」

「食べる!」

 一昨日ぐらいに茜と一緒にコンビニを寄ってついでにプリンを買った。

「わか……った?」

 正面を向くと何か違和感を感じた。

「なに? どうしたの?」

「いや、なにあれ?」

 目の前に物凄い光輝く真っ白な物が浮かび上がって。

「なにって……えっなにあれ!?」

 茜も気付き騒いでいた。

「なにこれ?」

 その謎の光に近づくと電球を最大にしたぐらいに眩しく輝かせていた。

 すると前から来る自転車を乗ってくる子供たちがこっちに近づいてきたが、この光のことは全くもって気づかなかった……。

「……え?」

 ジョギングをしているお姉さんもそのままスルーをしていた。

「……これって私たちにしか見えてない?」

「…マジで?」

 俺はなんとなく球体を触ろうと手を伸ばした。

「うぉっ!」

「翼! 手が!!」

 手から腕腕まで一気に球体の中に吸い込まれた。

「うぉぉっ!」

 手の先は感覚があるが手を抜こうにも抜けなくどんどんと俺の体が球体の中へと入っていく。

「翼っ!!」

 茜が片方の手を掴んできて引き抜こうとしたが、茜も球体の中へと一緒に入り込んでしまった。

 球体の中に入り込むと世界が真っ白に包まれ体が落下していく感覚だった。

 手が離れそうになり彼女を方を向くと茜の方が完全に気絶をしていた。


「「茜っ!!!」」


 グッと茜を俺の体の方に無理矢理押し当てて頭を抱きしめた。

 そのまま二人揃って光の中へ落ちていった。

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