第9話

「……死んだ」


魔力量を間違えて無茶して体を動かし、バランス崩して顔から地面にダイレクトアタックした。

それが地味に痛い。

慣れないことを調子に乗ってするもんじゃない。

ゲーム内にもなかったリアルな感触が楽しくて、つい乗りに乗ってしまった。


「けど」


着いた。

と思ったけど。


「村?」


マップ再確認した。

領内ではあるけど、最端の村みたいだな。


「にしても、んー」


はじめての村にしては、貧困そうな小さく、あまり発達もしてないような。

とりあえず入ってみよかな。


「ちょいと待ちな」


野太い声が聞こえた。

ガタイがいい男性。


「村の方ですか?」

「そうだ。門番みてぇなもんだ」


みたいってことは、役割は固定してないのか?


「お嬢ちゃんはこんなとこで何してる?」

「お嬢ちゃん……あ、少し迷いまして」

「こんなところにか?」


一瞬、自分が女の子だと忘れて反応が鈍くなってしまった。

怪しまれなかったかな?

いや、怪しいだろう。

一人で、まさしく辺境のさらに端にある“こんなところ”だから。


「そうなんです」

「見たところ、よそから来たんだろ?あっちの村か?」

「いえ、砂漠方面です」

「は?」


めっちゃ訝しがれました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る