第46話 メトロノームと楽譜

-side オーウェン-




「これがグリモワールか……、どんな機能があるんだろ?」

『気になるピー!』



 風竜エリアスの力が封じてある風竜の杖、その力を解放する鍵であるグリモワール。

 見た目は白銀色の古びた本だ。

 フェアリーけろべろすによると、非常にスマートらしい。

 


『グリモワール自体にそこまでの危険性はないから、実際に触って見たら良いよ』

『なうなヤングなクレバーなピープルが使うケロー!』

「そうなんだ」



 とりあえず、グリモワールに触れてみる。



 “使用者登録をします。オーウェン様ですね?”



 という文字が浮かび上がってきた。

 おお……!確かにこれはスマートかもしれない。



「うん」



 返事をすると、登録されて、一通り風属性魔法の使い方が出てくる。

 初級の魔法から、シルフが使うような上級魔法まで様々だ。便利すぎるな。これ。

 試し撃ちするか。



 “試し撃ちですね。では試し撃ち場をご用意いたします”



 ーービュオッ!



 あたり一体にあっという間に風のドームができる。

 試し撃ちの的や遮蔽物なども用意されている。



「すごすぎる」



 ーーバシ!バシ!バシ!



 的も直撃すると壊れる。使用感も良いみたいだ。



『それそんなに直撃する物じゃないケロ〜』

「へ?」

『普通は的を目で追うのでやっとですわ!』

『エイム良すぎだろ!』

『おかしいピー!』

「そーなんだ」

『風の初級精霊が動き回っているんだからね。そんな当たるようにできてない』

「へー」


 

 ーーって、風の初級精霊だったら今の攻撃でやっちまった!?


 

『心配しなくても、すぐに復活するから大丈夫だよ。精霊は概念だからね』

「よかった〜」



 危ない危ない。今度から使う前に事前にしっかり説明は聞こう。

 それはそれとして、これ。これだけ自由に色々スマートに変形できるんだったら、メトロノームとかになんねーかな。



 “かしこまりました。”



 ーーはっ!?

 

 

 ピカーー!グリモワールから、メトロノームが生まれる。

 


「マジか」


 

 カチカチカチ……と音がする。懐かしい。前世ではスマホができてからはスマホのアプリで十分だったから、最後の方は全く見なかったんだよな。



 ちなみに、楽譜とかも出てくる?



 “かしこまりました。どの楽譜がよろしいでしょうか?”

「くるみ割り人形」



 ーービュオッ!



 すごい。風の楽譜が浮かび上がってきた。紙でもないため、譜面台もいらないようだ。

 というか、調べたらすぐ楽譜が出てくるのか。スマホの楽譜アプリが出てきて以来の衝撃だな。あの時も楽譜がPDFになって、何でも印刷できるようになったの本当に便利で衝撃だったんだよな。


 

 ……というか、このグリモワール、スマートすぎんだろ。

 シルフはなんでこんな便利なもの無くしたんだ?と思ってシルフ達の顔を見るととても驚いた顔をしながらこちらを見ていた。



『そんな使い方できるんだー』

「え?」

『ほら、僕たちちょっとそのブリリアントな機械使い方分からなくてさ』

「おいこら」



 完全にシルフ達にとってオーバースペックじゃねえか。というか、スマートでブリリアントとか言ってたのは知ったかぶりだったのかよっ!

 


 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



 その日の夜。

 一通り、メトロノームが動くか確認した後、フェアリーケロベロスと別れの時がきた。

 まあ、不思議の国も門があるところから抜け出して、時々庭に不法侵入しているみたいだから、また家帰ったら会えるのだろうけど。



『不思議な国は楽しかったケロ?オーウェン殿』

「あ、ああ。結果だけ見れば、ありがとう」

「フェアリーケロベロスは?」

『楽しかったケロ〜』

「本当か?最後シルフにボロカス言われてたけど?」

『どんなに悪口を言われていたところで、楽しいか、楽しくないかはケロの主観でしかないケロー!ケロが楽しいと思えれば、それが楽しいのだケロ!お前が感じる幸せまで周りの意見に左右されるなケロー!』

「そ、そうか」



 そう言って、フェアリーケロベロスは去って行ったのだった。強いな、お前。



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