第29話 屋敷の庭でバーベキュー!

-side オーウェン-




「さて、なんだかんだまともそうな野菜も、たくさん取れたから、オークの肉と一緒にバーベキューをしたいと思う」

『『『おおーー!』』』



 パチパチパチパチ……!

 つまみ食いする気満々な精霊達を連れた、料理の下準備に入る。させねえからな?



『……バーベキューって何?』

『私も、初めて聞きますわ〜!』

『肉が食えればなんでも良いか!』

『ですわね!』



 精霊達、反応がテキトーすぎる。

 そんなんで良いのかよ?

 まあ、楽しければ、良いのか?



「まずは、タレの準備からだな」



 バーベキューの8割はタレで決まると言っても過言ではない。まずは、料理の一番重要な部分から調理だ。準備方法はこうだ。


1. タレのベースとなる材料を用意:一般的なバーベキュータレには、ケチャップ、ウスターソース、醤油、砂糖、酢、粉末マスタード、ニンニクなどが含まれる。リオンシュタットは他の地域に物価は高いが、似たような食材が揃っていたので、完全再現は、出来ないとは思うが、まあ、なるようになるだろう。


2. 材料をボウルをよく混ぜる:材料の組み合わせによって、甘辛さや酸味を調整できるので、味見をして、自分の好みに合わせてみる。


3.これは、オプションだが、煮詰める:タレを煮詰めることで、濃厚な味わいを得ることができる。中火でゆっくりと煮詰め、濃度を調整。


4. タレを室温まで冷ます:こうする事で、味がまとまる。



「とまあ、こんな感じかな?うん!味も良い感じだと思う」



 冷やしている間に別の味付けも用意してきた。次の2つの味付けも人数分、用意した。



1.塩、胡椒:単純だが美味しい。

2. マリネ:オリーブオイル、酢、ハーブ、香辛料、レモンジュースをミックス。肉をマリネ液に漬け込むことで、風味を付けることができる。



「どうせだったら、精霊の森で取れた野菜を使ってソースを作りたいところだが……まあ、時間的な問題もあるから、今回は仕方がない。」



 フルーツで作られた柑橘系のソースもバリエーションを豊かにするだろう。

 また今度のお楽しみだ。



 さて、それはともかく……。



「お前ら、肉は外で焼きながら、その場で食うから、今は食べれないぞ。みんな平等だ」

『『『ええ〜!』』』



 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



「みんな揃ったか」

「はい。お騒がせしましたぁぁ!」



 ロンもゆっくりリラックス出来たようで、一安心だ。トムとレムには感謝だな。

 精霊達は、待ちきれなかったのか、果物を頬張っている、美味しそうだな、それ。



「さて、当然、森が火事になったら、大変だから、気をつけなければな」

『すごい……。ついさっき、スターデュストポテト森林破壊していた人のセリフとは思えないね』

「褒めるか、貶すかどちらかにしろ」



 ともかく、バーベキューの準備だ。

 安全対策も踏まえて、以下のことを準備しておいた。


1.結界を張る:一応、庭のひらけた場所で行っているが、万が一煙が、植物や生物に有害だったら大変なので、念のために用意。


2.火の周りに、あらかじめ、水を用意:魔法でも出せるが、魔力が切れたら大変だからなるべく温存したい。


3.チャコールグリルの準備:使う場合、炭をセットアップし、点火用の新聞紙や着火剤を用意。


4.調理用具の準備:トング、ブラシ、調理用の皿やボウル、アルミホイルなど、必要な調理用具の用意。



「これでよしっと、あとは焼くだけ!」

『おおっ!とうとう、出来るんだね!』

『楽しみだぜーー!』

『いやった〜ですわ!』

「いや、何で、全部調理をして、食べさせてもらえる気でいるのかは、知らないが、焼くのは、自分でやるんだぞ?ほら、トング。魔法で動かせるだろう?」

『『『ええ〜!』』』



 だって、バーベキューってそういうものだしな。楽できるから良いな。



 ……とはいえ、精霊達が上手に焼くのは限界があるか。

 トムとレムには、手伝って貰おうかな?そう思っているとロンが声をかけてきた。



「あ、あの、だったら、私、やりましょうか?こう見えても、料理は得意なんです!」

「いや……、いやいやいや……。お客様に、そんなことをさせる訳にはいかないだろう?」



 と言うのは、嘘。本当は、怖いだけだ。

 だって、勝手な偏見だけど、得体の知れない料理作られそうだ、なんとしてでも、回避しなければ!



「いやいやいや……、遠慮なさらずに!」

「いやいやいや……!」

「うぅぅ……、私も、バーベキューを楽しみたいんですが、やっぱりダメでしたかね」

「うっ……!なら、少しだけなら……」

「やったーー!ありがとうございます!」



 くぅ……、押し切られてしまった。無駄にならないように、しっかり見張ろう。





 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢





 そして、皆が待ちわびている中、最初の食材が調理に取りかかった。

 ロンが肉を手に取り、チャコールグリルの上に置いた瞬間、シュッという音が聞こえ、香りが広がる。精霊たちは目を輝かせ、興奮気味になった。



『おおっ、いい香りがするね!』

『これがバーベキューの香りですか!楽しみですわ!』

『ますますお腹がすいてきたぜ!焼けるまで待つのは苦痛だな……』



 ロンは肉をひっくり返し、完璧に焼けるように注意深く調理している。意外と料理が上手いかも?……いやいやいや、まだ油断してはならないだろう。



 その間に、トムとレムは森で取ってきた、野菜の焼く準備を準備をしている。事前に、サラダを用意していたので、それを食べながらみんなで待つ。

 自宅で、野菜が取れるのは、ありがたいな。リオンシュタットの野菜はとても高い。

 隣の領地でしか、野菜を取れないから、コストがかかってしまうのだ。領主として、早いところインフラを整え、この町の農業を盛り上げてあげたいところ。



「よっし!良い感じに肉が焼けてきたし、もうすぐです!」

『『『おおーー!』』』



 ロンは精霊たちに笑顔で声をかけた。

 野生の獣のように目をギラギラと光らせて、食材を見ている。分かっているけど、座って落ち着こうか。



 そして、ついに待ちに待った瞬間がやってくる。肉と野菜は美しく焼きあがり、テーブルに並ぶ。



「さあ、どうぞ召し上がってください!」



 ロンが皆に声をかけた瞬間、精霊たちは喜び勇んで食べ始めた。



『う、うめえええ!』

『肉汁が大渋滞していますわ!』

『美味しいいい!』



 毒味役の精霊達が食べたのを見て俺も食べ始める。



「うまい!!」



 実は、オークのお肉は初めて食べる。

 実家では、庶民が食べるお肉だから、食べるなと言われて、口にできなかったのだ。

 一種の宗教みたいなものだから、それが、悪いとは言わないが、前世では、普通に食えるものは、なんでも食っていたからな。好奇心の方が勝っていて、いつかは食いたいと思っていたのだ。



 初めて食べるオークのお肉は、柔らかく、ジューシーで、風味豊かな味わいがあった。筋肉質だが、油ものっている。

 久々に、豚肉を食べた感覚があり、少し感動。噛みしめる音と満足げな笑顔が広がり、バーベキューは大成功となった。



 みんなが集まり、美味しい食事と楽しいひとときを共有する。新たな思い出が生まれていった。



 あと、ロンの料理は意外と美味しかった。

 ど偏見ぶつけて、疑って申し訳ない。



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