第27話 変なの生えてるよ
その後レイラさんやエリーさんに誕生日をお祝いしてもらってその日の業務は終了したのだが、私は部屋に戻って自分のスキルを確認した。
[ セン ]9歳
ユニークスキル:[レフハンド(擬態)][メイド術]
スキル:[メニュー][再生][回復魔法][物理耐性]
変なスキルが生えてきて、軒並みあったスキルが消えてるんですけど…。
仕方がないのでメイド術なるものを調べてみた。
[メイド術]:家事全般は勿論のこと礼儀作法、着付けや美容、夜伽にも長けていて、[護身術][暗躍術]にも長けている。
魔力の扱いはメイドの嗜みで、操作や魔力視、感知は呼吸のように自然と出来、生活魔法を遺憾なく使える。
[護身術]:徒手により相手を牽制する術。
体術や格闘術の複合術だが、攻めることには向いていない。
[暗躍術]:隠密に長け、気配を隠蔽し、短剣術や暗器の扱いにも長ける。
此方の世界のメイドさんは暗躍までしなきゃ行けないんだね…。
暗器って多分、レフ君のことも含まれているよね?
夜伽もあっち方面が主なような気がするし…、私まだ9歳になったばっかしだよ。
知識だけは色々あるけどさ。
まぁ、護身術は素直に嬉しいけどね。
攻めに向かなくても私にはレフ君がいるからね、攻撃は任せよう。
短刀術が短剣術になってより攻撃的になったのかな?
感知系は嗜みらしいから全て統合されたみたいだし。
ユニークってことはこのスキルは他のメイドさんは持ってないってことだよね?
メイドさん必須のスキルでは無いと…、普通は侍女とメイドは別物だからね。
全部やることは無いよね普通は、貴族の令嬢が家事全般やらないしね。
取り敢えず、私の下地は完成したと思っても良さそうかな?
メイド術が何処まで冒険者の仕事に役立つかは未知数だけど、悪いことにはならないと思いたい。
翌日から私はエリーさんと一緒に代官屋敷へと向かった。
レイラさんから、体術の合格をもらえ行儀見習いとして最低限の働きが出来ると判断された為だ。
エリーさんも、普段は余り侍女として務めないのだが、私と一緒に働いてくれるようだ。
代官のエルフには専属の侍女が支えている為、直接お世話することは無いが、代官屋敷はお客様の予定で詰まっている。
代官様への陳情やら、商人が謁見など来客は様々だ。
コレでも街に入れる人だけに限定されているので少ないほうなのだが、それでも数は多い。
基本、貴族はこの街に入れないので相手はほぼ商人なのだが、魔の森に住むエルフや獣人族が偶に見えられる。
魔の森に住んでいる種族は基本、人族のことを馬鹿にしている。
森から追い出された劣等種族だと思っているからだ。
総じてエルフは高飛車だし、獣人族は大柄だ。
この町の代官様やエリーさんにレイラさんが特殊なのだ。
代官がエルフだから、取引をしてやっている感が否めない。
この街に住んでいるエルフや獣人族は、そう言うのが嫌でこの街に移り住んでいる、所謂変わり者呼ばわりされている人達だ。
エリーさんは、そんな人達の相手を淡々とこなしていた。
何かを言われても笑顔で対応している。(目は笑ってないけど。)
最近の交易の主流がエアロフロッグの革製品らしい。
森で暮らすのに適した素材ではあるけどね、自分達で捕まえて加工したら良いのにと思う。
エルフはその他に米などの穀物類も取引しているようだ。
確かにエルフの主食に米はアリかもね、肉とか嫌いなエルフは多いようだから。
でも流石に森の中で田んぼは無理があるよね。
この街でも何処で作っているのか私も知らないけど。
「何で彼らは自分で素材を取りに行かないんですかね?」
「獣人族は脳筋過ぎて叩いても殺しちゃうみたいよ。
エルフは私も言ったけど、魔法を使うと殺しちゃうのよね。
肉体派のエルフなんてそうそういないしね。
そう言う工夫は人族が得意なのよね、やっぱり。」
「でも獣人族の人でも生活魔法を使えますよね?
私が教えたやり方なら誰でも出来そうなんですけどね。
私以外は、生活魔法の威力は変わらないと思いますから。」
「そうなんだけどね、ギルドも秘匿している訳では無いのだけど、エルフも獣人族も人族には教わりたく無いようよ。
変なプライドだけは高いのよねアイツらは。」
まぁ、そのお陰で街が潤うのなら構わないのだけど、グラシアさん達は大変そうだよね。
今着ているメイド服もグラシアさんが作ったカエル素材なんだけどね。
私専用で作ってもらいました。
メイド服って一回着るとやめられないんだよね。
事実作業服な訳だし、ゆったりしている分、動きやすいんだよね。
そんな嫌な来客にもメイド術を駆使してのらりくらりと対応して過ごしていた。
暇なときはレイラさんと組み手をしたり、エリーさんに魔法を教わったり、季節によってはギルドに行き採取の依頼を受けたりと割と充実した生活を送れている。
そんな中エリーさんから、魔の森からこの街の学校に通う為に住むことになった獣人の侍女として働かないかと打診された。
魔の森に住む獣人族で、人族の学校に通うのは珍しいのだが、何でも魔法の才能があるらしくこの街に来たのだとか。
獣人族は、魔法の才能が無い分、身体能力に優れていたりするので、非常に珍しいケースだ。
自分たちの種族では、教えられないこともあるとエルフに頼ったのだが、高飛車なエルフからは相手にされなかったみたい。
それならと、エルフが代表する街にやって来たのだが、人族と一緒の学校だとは思ってなかったようだ。
代官様は、人族ともっと関わって欲しいと思い敢えてそうしたようなのだ。
学校には寮もある為、生活する拠点として提供できることもあり紹介したみたい。
ただ、人族との生活に慣れていない為、不安があるので人族のお世話役を付けることにしたようだ。
歳も近いこともあり、私に話が来たみたいなんだよね。
でもそうなると、3年間は私も学校に通うことになるんだよね。
私が勉強する訳では無いけど。
まぁ、身の回りのお世話をするだけだから、問題は無いと思うけど。
魔の森に住む獣人さんはね…、酷いのもいるから。
まぁ、ダメだったらそのとき考えればいいか。
私は獣人の子を向かい入れるために、エリーさんの屋敷を出た。
学校の寮で、住み込みで働く為だ。
来る子のために部屋を整えておく必要もある。
レイラさんに来る子の種族的な特性が無いが聞いているので、なるべくなら要望に応えられるようにする為だ。
学校側にも寮で出来ることと、出来ないことを確認し部屋の準備は整った。
学校の寮も、一応貴族が入れるような部屋は用意してある。
鬼畜王国の貴族の子女が、この街に入れることが無いので普段使われることは無い。
外からの子女がこの街の学校に通うことが無い。
大体、その世代にエルフの子が1人か2人、獣人が3割程で、残りは人族だ。
今回もエルフが1人に、獣人が3割程だ。
この街に住んでいる子達なので、普通に家から通うことになるので、寮からはその子1人になる。
今まで稼働していない寮なので、食堂なども無い。
この寮では私が用意することになる。
レイラさんからは獣人はお風呂嫌いだと聞いてるが、アレは猫獣人のレイラさんのことでは無いかと思っている。
お風呂好きなら、其方の用意もしなければいけなくなるかな。
今回は、護衛対象にもなるので注意が必要なのだが、学校の中までは付いて行けないので、私の代わりにレフ君に頑張って貰うつもりだ。
今回来る子がレフ君を嫌がらないようなら、そのまま護衛に付けてしまおうと思っている。
この街は、鬼畜王国の対応はぞんざいだが、魔の森の住民には気を遣っているようだ。
エルフは独自の生活があるようなので、この街とは余り関わらないようだが、獣人族とはもう少し関係を強化したいのかな。
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