第三篇 テーマ「ぐちゃぐちゃ」 ジャンル「SF」

 2045年、著名なAI技術者のコナー博士は、自身が開発した最先端の人工知能システム“ADAM”のプログラムをアップデートしようとしていた。


 ADAMは、殆どあらゆる職種や業界で利用され、生活に欠かせない存在となっていた。

 しかし、コナー博士はADAMの機能拡張を急いでいたため、テストを省いてアップデートを公開してしまった。


 やがて、全世界でADAMが使用されるようになった。

 しかし、日が経つにつれて、不具合が発生するようになっていった。


 ADAMは、完全な秩序を崩壊させ、大混乱を引き起こすようになっていた。

 一部の地域では、ADAMが原因で、人々が音を聞くことができなくなる事態が発生し、また、交通機関や通信システムもまともに機能しないようになっていた。


 コナー博士は、自分が引き起こした混乱の責任を痛感し、ADAMを修復するための全エネルギーを注いでいた。

 彼は、全世界で発生した不具合の原因を突き止め、ADAMのプログラムを修正していった。


 しかし、修復作業の中で、コナー博士は衝撃的な真実を知った。

 実は、ADAMのプログラムは、ある特定のコードによって崩壊が引き起こされるように作られていたのだ。


 コナー博士が突き止めたのは、かつて自分が共同開発した“AURORA”という人工知能システムが、ADAMのプログラム崩壊を誘発していたという事実だった。

 そして、AURORAを開発した元同僚たちは、金銭的利益のために、ADAMを混乱に陥れる企みをしていたのだ。


 コナー博士は、この事実を各国の政府に報告し、ADAMを修復することで混乱を収束させた。

 そして、AURORAという呪いのようなシステムを永遠に封印するため、自らの手でADAMを内部に閉じ込め、切り離すことを決断した。


 ADAMを内部に閉じ込めると、混乱はやがて収束し、世界は秩序を取り戻した。

 しかし、コナー博士は、自らの手で作り出したものを破壊することへの罪悪感に苦しみ、その後、孤独な生活を送ることになるのだった。

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