カエサル隊の日常 2 ある日の朝礼
俺達の朝は早い。
俺は鳥も
ベットから起き、
寝間着を脱ぎ、大きなシャツに
鏡で
「
呟きながらも鍵を手に取る。
やり残したことがないのを確認して扉を開けた。
★
「アダマ君。君が書類を書くのが苦手なのは知っている」
ため息交じりにクラウディア隊長が言う。
俺は冷や汗をかきながら隊長のお叱りを受けていた。
両隣ではエリアエルとシグナが笑いを
そんなに笑わなくてもと思うも今回は俺の
「まさか書類を持ってくるのを忘れるとは思わなかったよ」
「申し訳ありません! カエサル隊長! 」
「
怒鳴られ背筋が伸びた。
怒ると怖いんだ、隊長殿は。
「私の事はクラウディアと呼べと言っているだろうが! 」
「そっちですか」
急に脱力し言葉が
しかし隊長殿はそれが気に入らなかったようだ。
「そっち、ではない。これしかないだろう? 」
「いえ書類の事とかあると思うのですが」
「そんな取りに行ったら済む話は別にいい」
「いえ、絶対によくないと思います」
「話しが
少し冷たいエリアエルの言葉に隊長は「はっ」とする。
コホンと軽く咳払いをした後、今日の本題に入った。
「今日の死者のダンジョンでの素材採取は休みだ。最近になって他の部隊が独自で二十一階層に行けるようになったからな」
死者のダンジョン。
俺達が最初に
俺はこのダンジョンのコアを操作することで、各階に緊急時外に出ることができる帰還用の転移魔法陣を設置した。
流石に発生する魔物を変更することは出来なかったが強さは弱くすることができた。
これにより死者のダンジョンへ国所属の研究者が入るれるようになり、今
俺達は踏破者として時々それについて行き、護衛をしたり魔石を手に入れるために魔物を殲滅したりしていたのだが、今日は大丈夫なようだ。
「よって我々の任務は未踏破ダンジョンの攻略となる。国内には今も危険にさらされる町や村は多くある。それを救うのが我らの仕事だ。と言うことで今日もダンジョン攻略だ。頼むぞ諸君」
隊長の命令に大きく返事をする。
作戦会議室を出ようとすると窓の外から火のような物が見えた。
軍の朝練、か。
外はまだ暗い。
恐らく火属性魔法の灯りだろうと思うが、それを見てふと気が付き振り向いた。
「隊長、少し良いでしょうか? 」
「ん? なんだ。珍しい」
「俺達訓練とかは良いのですか? 」
それを聞きクラウディア隊長は何か気が付いたように「あぁ~」と
俺の疑問にエリアエルとシグナも気付いたのか隊長に向いた。
「確かに本格的な訓練をしていませんね」
「訓練したいときにしていたからな。そう言えば連中のような訓練はしてないな」
いくら独立ダンジョン攻略部隊と言えど、それはどうなのだろうか。
そう思いながらも俺達は隊長の方を向く。
すると隊長がこちらを向いて説明を始めた。
「君達。いや私もだが、訓練は自由だ」
「……良いんですか? 」
周りが必死に訓練しているのにやらないとなると少し罪悪感を感じる。
やらなくても良い理由でもあるのだろうか。
「構わない。そもそもな話私達はダンジョンを攻略するための実働部隊だ。いうなれば早朝こうして集まり、朝ダンジョンに行き、夜に帰って来る。これが訓練のようなもの。そもそもな話、君達にあんな訓練必要か? 」
とくいっと親指を窓の方を指して言う。
そう言われると微妙だ。
それぞれ使える技も
訓練場ダッシュや腕立て
必要があるのかというと、ないだろう。
「それにあのような
「「ぐっ……」」
隊長の言葉に二人が詰まった。
日々自由気ままに動いているエリアエルとシグナ。
エリアエルが魔法を放てば建物は壊れ、シグナが動けば男が困る。
この個性の集まりは周りに合わせて行動するのには向いていない。
「何か言いたそうな顔をしているな、アダマ君」
「そのようなこと御座いません、クラウディア隊長」
「君の事はよく知っているつもりだよ、アダマ君」
「……俺ここに来て一か月も経っていない気がするんですが」
「時間なんて関係ない。君との
な、なんて鋭い。
「その顔は
「……申し訳ありませ——「これはお仕置きが必要だな。
すぐさま俺は頭を下げる。
どっちも嫌だ!
幾ら痛みを感じないとはいえ鞭で叩かれるなんて好んでするものじゃない!
「ちょ、ちょっと隊長! 流石にそれはやり過ぎではないでしょうか! 」
エリアエルの声が聞こえてくる。
顔を上げ彼女を見ると隊長に向かって詰め寄る姿が見える。
興奮しているのか少し顔が赤いが、それほどに
本当に良い
「やり過ぎではないと思うが……。エリアエルも混ざるか? 」
「よろしくお願いします」
何ですぐにクラウディア隊長についているんだ?!
「それは楽しそうだな。私も混ぜてくれよ」
「良いだろう。では今晩はアダマで遊ぶとするか」
「頼みますからやめてください! 」
「君の意見は通らんよ。部屋を綺麗にして待っておくんだぞ? 君は目を離すとすぐに部屋を物で散乱させるのだから」
「!!! なんで隊長がアダマの部屋の事を知っているのですか?! 」
本当に何で知っているんですか!
それに
あれが普通の男性の部屋です!
少し抗議の目線を送っている、とクラウディア隊長はエリアエルを見下ろしコテリと首を傾げた。
「部下の事をチェックするのは隊長の
「おかしなことばかりです! 」
「そうでもないとおもうが……、そう言えばエリアエルの部屋にアダマの——「おかしなことはないと思います」——素直でよろしい」
え、ちょっと待ってください。
彼女の部屋に俺の何があるのですか?!
「では今日も出撃! 」
待ってください。
せめて何があるか教えてください!!!
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