『N: N.』スティーブン・キング

 



第5短編集『Just After Sunset』に収録(2008)

『夜がはじまるとき』収録(2010)文春文庫



アーサー・マッケン『パンの大神』をモチーフとして書かれた。



メイン州にあるモットンの町。

アッカーマンズ・フィールドの「とある石」に関わった人々。

次第にOCD(強迫性障害)に囚われ、それは連鎖する。

石の周囲は、異次元との防壁が薄い場所。

やがて異形のモノが姿を現し・・・。

医師は、石の存在を「確信」する。


『クラウチ・エンドの怪』と同じく

クトゥルフ神話に触れている。



『クラウチ・エンドの怪』についての記事はこちら。

https://kakuyomu.jp/my/works/16817330655304598410/episodes/16817330659788111114


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アーサー・マッケン著『パンの大神』は

クトゥルフ神話にも多大な影響を与えた作品だ。



タイトルにもある『パン』は

ギリシア神話に登場する神の一柱。

「山羊のパーン」とも呼ばれる。

下半身が獣であり、頭に山羊の角が生えていた。

名前の『パン』は

山羊や羊を飼う者を意味する「パオン」から命名されたのだが

ギリシア語の「全て」を意味する「パン」と混同されて

偉大な神『パンの大神』へ。

伝わる逸話(海底から天まで届く山の頂上まで駆け抜けた・・・等)

を思えば『パンの大神』と呼ばれるに相応しい。


『パンの大神』にはケルト神話に出てくる

ノーデンス神の石碑についても言及している。

癒しを与える神であり、医療の神である。


ノーデンス神を信仰する遺跡は実際にいくつか出土していおり、

アーサー王に纏わる伝承にもノーデンス神は

幾度か登場している。

有名なエピソードでは漁師の姿だった。


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クトゥルフ神話でのノーデンスは

「大いなる深淵の主:Lord of the Great Abyss」

「大帝」と呼ばれている。


初登場は

ハワード・フィリップス・ラヴクラフト

『霧の高みの不思議な家』(1926)だ。

以降、

「エルダー・ワン(古きもの)」の縁者として

人間に友好的な神として存在している。


ドリームランドと呼ばれる場所では

番人としての神として人間の前に立ちはだかる。


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スティーブン・キングは

『パンの大神』とその眷属が登場するストーリーとして

『芝刈り機の男/The Lawnmower Man』を書いている。


https://kakuyomu.jp/works/16817330655304598410/episodes/16817330655319576582


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『パンの大神』からクトゥルフ神話については

「IT」とも切り離せない。

ノーデンス神から派生し、スティーブン・キングによって

生み出されたペニーワイズと、その兄弟。


https://kakuyomu.jp/my/works/16817330655304598410/episodes/16817330655319385518


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メイン州モットンには

異形の神が住む世界との結界たる『門』があるのだ。



数は重要である。


ダークタワーの世界でも

数は重要なキーとなっている。







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