クトゥルフ神話とペニーワイズ


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最新の「IT/イット THE END」(2017)には

原作者のスティーブン・キングご本人が骨董屋の店主役で出演。

嬉しくて 何度も観てしまう。

わりとカメオ出演の多いスティーブン・キングだが

役者としても 味のある いい演技だ。


丸々1本主演作をスティーブン・キングと知らずに観て

非常に印象に残っていた。



前作、一度目の映像化が1990年。

ちょうど27年後での再映像化。

ペニーワイズが27年ごとに訪れるという

物語の設定に合わせての公開ー

製作陣の力の入れ様が よく判る。



「IT」に限らず 近年のスティーブン・キング作品の映像化ラッシュ。

原作も映像化された旧作も、それぞれの持ち味が発揮されていて好きだ。

駄作と呼ばれたものも「味のある作品」として楽しんでいる。


好きだから!

それでいいのだ!


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ペニーワイズは どこから来たのか。



ペニーワイズのキャラクター

連続殺人犯ジョン・ゲイシーがモデルなのは有名だ。


あまりにも当てはまり過ぎて言うことがない。


1990年の「IT」以降「ピエロ恐怖症」は決定的なものとなり

アメリカに大量発生した。


ジョン・ゲイシーについては

いつか書くコトがある、かも知れない。


ペニーワイズの主要モデルは それとして。


他にも「これもそうじゃないのか?」と思われるものがある。

スティーブン・キングの作品の中心

「ダークタワー」と「キャッスルロック」から

あれこ考えてみる。


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神と呼ばれる「Gan」と同一の可能性がある存在が創造した。

宇宙を取り巻く未知の空間から地球にやってきた。

数十億年か それ以上長い間 生きている。


太古の地球に飛来した蜘蛛に似た邪悪な生命体。


本体の姿そのものは確定していない。

様々な世界を破壊しつくしてきた。


この世界の地球に来た時には「破滅的大事件」を起こす。

異名「グラマー」

等々。


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スティーブン・キングの作品で

それとなく書かれるペニーワイズの正体。


ラヴクラフト作品では蜘蛛の姿をした異形のモノ

ーアトラク=ナクア

(Atlach-Nacha:アトラック=ナチャ、アトラク=ナチャ、アトラナート)

が よく似ている。


古代フェニキアでは 神として信仰されていた。

今は北部の地下に封じられ、地下に巣を広げ続けている。



迷い込んだ人間は

残さず食されるという。


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ラヴクラフト作品には

ドリームランドと呼ばれる土地が出てくる。


幻夢郷、幻夢境、夢の国・・・様々な邦訳がある。


異界に存在するその土地は

夢を媒介として訪問することが出来るようだ。


夢を見る、だけでは行けない。

夢の中では、正しい手順が必要なのだ。

そして初めて辿り着ける。


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その手順ー

ダークタワーに入ることが出来れば可能だろう。


映画「ダークタワー」には

ペニーワイズを思い出す場所が出てくる。

アトラク=ナクアの巣が広がりきった果てには

ドリームランドに辿り着くそうだ。


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世界中で言い伝えとして残る


「子供の怖いモノ」


形はないが、怖いものは怖い!ナニか。


そういった子供の

「恐怖心」

「不安感」を総じて

「ブギーマン」と呼ぶ。


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子供を呼び出し連れ去っていく。

突然現れ、袋に詰めて消える。

今、ここにいたのに!頭からガリガリと喰われる。

決まった期間を経て再び現れ、子供を沼に引き入れる。


様々な国で言い伝えや昔話に出てくる怖い話に登場する

「ブギーマン」の特徴は

ペニーワイズのソレとよく似ている。


神話の中ー

言い伝え、物語の中の姿は

身近な存在であり、異形でもある。


ケルト民話の中に「グラマー」という術が出てくる。

幻覚や 様々な幻を見せる技。

人に幻術を見せるのはペニーワイズの得意技だ。


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ジョン・ゲイシーは 子供を下水道に連れて行った。



映画「ハロウィン」で有名になったブギーマン。

問答無用の殺戮行為。

「恐怖の象徴=ブギーマン」と呼ばれるのにふさわしい。


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世界の中心「ダークタワー」


6本の「道」を守りし12の守護者たち。


そのうちの一人とされる

マチューリンは宇宙を生み出した。

ペニーワイズの兄弟だ。


ペニーワイズの「本体」は

全宇宙の中枢を侵攻。

守護者の数名は倒されてしまう。


「本体」の暴挙により、

数多い世界が滅びていった。


神と呼ばれる「Gan」

そしてマチューリンは 

高次の存在「Higher Purposeであり意思」として


ペニーワイズ、

「深紅の王」とよばれる者は

「Higher Randomであり偶然」

対局の存在とされている。


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「ドリームランド」と呼ばれる土地。

ラヴクラフト「白い帆船」(1919)で

初めて この世に その姿の片鱗をみせた。



2017年の「IT」は

白い船を少年が追いかけるシーンから始まる。

ぞくぞくする幕開けだ。

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