第10話 掲示板 後のことは未来の俺に任せた!

 何かがおかしい日陰を考察するスレ


 504

 日陰と言う存在を撮ったショートが増えてるな


 505

 攻略していたダンジョンが特定されたからな


 506

 お前ら、現実を捨てて無になって冷静になるな! 見ろ、おかしいだろ!


 507

 なんでリイアがソロで飼ってんのかね。他の人がモンスターを倒せんだろ


 508

 >>507見るべき場所はそこじゃない


 509

 数多く投稿されているメイドがモンスターを倒しす映像が重要。これ、モンスターカードのモンスターだぞ


 510

 メイド服を来た探索者って言う路線は? ショップでメイド服の装備あったろ。戦闘向きの性能はしてないけど


 511

 確かに、角とかも装備やアバター改造でどうにか出来るからな。邪魔になったり、攻撃される部分になるから、アバターには殆どの人がしないけど


 512

 でも、人外プレイしたい人がそう言うのやるじゃん? 一応種族設定も出来るし。モンスターカードって決めつけるのは無理だな


 513

 実際に日陰を捜索していた人です。途中までタコ男とか見かけたんですが、途中から全く見かけませんでした。召喚解除したと思われるんですが、日陰本人は居る感じでした。メイドを四種類見かけたのですが、モンスターカードの使用条件とあっています。実力は一級に近いと思われます。オーガをワンパンしていたので、レベルが高いのは確かで、わざわざ高レベルの人がこのダンジョンに居ないので日陰関係だと思われる。

 日陰と助っ人が共に行動してないのは確認しており、パーティ設定している可能性は低い。経験値が入らないから。

 でも、モンスターカードはそうでは無いので、別々で行動している可能性は高く、メイド達の実力的にリイアの様な後輩の手伝いだと思われるがソロで行動しているので、モンスターであると予想される。

 疲れたお


 514

 >>513乙w


 515

 でも、確かにモンスター的な感じはするよな。メイド服で近接戦闘を繰り広げる探索者なんて見かけたら、確実に情報が共有される。面白いからな。実力者でモンスターを優先的に速攻で倒しているなら、日陰が犯人な可能性は高い


 516

 でも、それで大量虐殺していたら、次のランクに行っても良いよな? 速いけど


 517

 そもそも初心者って決まった訳じゃないけどな


 518

 まとめる。

 メイド服の女が四種類日陰と一緒のダンジョンに現れて、モンスターを瞬殺して暴れていた。理由は不明。

 探索者の場合、理由が不明。日陰の仲間なら近くに居ないのはおかしい。メイドのレベルは少なく見積もってもOランクは行ける程なので、レベリングや金稼ぎではない。探索者だと不自然。

 モンスターカードの場合、日陰の経験値や金稼ぎの効率化に繋がる


 519

 >>518分かりやすい!!


 520

 んーでもさ、モンスターカードの場合で四体埋まっていて、かなりの実力っておかしくかい? なんで一人でそんなにカード持ってんの?


 521

 見た感じタコ男よりも強いけど、どれも瞬殺なので階級の違いが分からない。タコ男も器用さや強さの憶測で二級って言われているだけだし


 522

 オーガレベルなら、五級モンスターでも倒せるしな


 523

 もしもこのメイドがモンスターで一級だったらどう?


 524

 >>523無知乙W


 525

 >>523義務教育しましたか?


 526

 モンカドの一級は高ランクのダンジョンでごく稀にドロップする超レアのアイテムなんだよ。手に入れたら自分達で使うし、一人で四枚も所持出来る程簡単には落ちない。大型クランでも、手に入れた人の物って感じでクラマス独占は出来ない。独占したら反旗を翻されるからね


 527

 日陰は化け物系のモンスターしか使わないと思ったのに、見た目が人間に近くて全員女性で容姿端麗のメイドって、日陰のモンスター説が正しいならこれ完全にフェチだろ


 528

 メイドの魅力は無限大だぞ


 529

 もしかしたらメイド好きの男だったりしてなw


 530

 >>529ねーだろw


 531

 モンカドだとしても、最低六種類でオーガワンパンクラスの実力モンスターを持っている事は間違いないな


 532

 タコ男売るのかね?


 533

 無いだろ。タコ男は日陰のトレンドマークだ。


 534

 なんか可哀想だなw


 無謀な考察は続いて行く。中にはきちんと的を捉えているモノもあるが、彼らはそれに気づく事は無い。


 ◆視点変更◆


 「暴れ過ぎた」


 月曜日、今日は学校なのだが睡眠不足だ。

 まぁ、不足していると言っても、殆どがデータ世界での活動だったので疲労感は無いのだが。


 休日は本気の活動をしたので、流石にネットに何かしら流れていると思った。

 結果はトレンド一位だよクソが。


 「なんだよメイドモンスターって、確かにモンスターだけど、探索者かもしれないじゃん!」


 探索者の場合、こんな場所攻略する意味なんて何も無いけどね!

 ポイントを全力で貯める為にモンスターも強くしたのだが、結果がコレだよ!

 モンスターか探索者か分からないレベルの容姿であるメイドを厳選して選んださ! 無意識にね!


 男だもん。オタクだもん。許してくれ。

 でも、これにより、探索者の可能性が出て来ている。

 これが広がったら、俺のモンスターだとは思われないかもしれない。


 「⋯⋯あれ? 一級のメイドをオークションにあげたら、やばくね?」


 カムイは登場させてしまっているので、オークションには出せない。

 他の一級はメイドしかない!


 「あれ? 本当に、どうしよう俺」


 そんな事を考えていると、ポイントを全力で貯める決意をした原因を作った戦犯幼馴染、愛梨が部屋のドアを開けて入って来た。

 せめてノックはしてくれ。


 「朝ごはん出来てるよ」


 「うん。もういっそ開き直るか!」


 「うん?」


 後の事は未来の俺に任せた!

 うん。もう深く考えるのめんどくさいや。

 俺の脂肪が外的ストレスから守ってくれるさ。そうしよ。

 取り敢えず、オークションに出す様のカードを考えておくか。

 流石に一枚の方が良いな。


 今日のクラスは日陰の考察に躍起になっていた。本当にやめて欲しい。痩せてしまうぞ。


 「やっぱり日陰の中身は男だって。ここまでメイドを中心にしてるんだぜ? 絶対にメイド好きオタクが中身だって」


 「でもよ、それも日陰のモンカドだって確定している訳じゃないだろ?」


 そうだそうだ!

 俺はメイドを召喚して放っただけなので、俺がメイドモンスター達と何かをした証拠は無い。

 ダンジョンから出たらメイドも自然消滅するしな。


 にしても日陰さんの盛り上がりはやはりモンスターカードの多さか。

 ますます、ガチャスキルの事はバレちゃダメだな。


 放課後、俺はギルドにやって来ていた。

 もちろん、お金を稼ぐためだ。


 「あ⋯⋯今日はどのようなご要件で?」


 おい、今の「あ」はなんだ「あ」は。

 確実に何かしら思っての呟きだろうな? あぁん?


 前回と同じ受付の人を選んでしまったが、まぁ良いだろう。

 ギルドの外では愛梨が待っている。


 リイアと愛梨は似ている見た目をしているが、少し違う。

 だから見間違えられる事は無いだろう。


 「なの、これを売りたくて」


 俺は戦闘で使えそうで有能でありながら確実に高くなるカードを選択した。

 それが『一級回復メイド:ライハ』である。


 回復系統のスキルを持ち、戦闘職から見たら手持ちに欲しい仲間だと思う。

 回復スキルを所持する人は少ないし、ワンパーティに一人は欲しい存在だ。

 確実に需要はある。


 「これをオークションに出したいのですが⋯⋯」


 「⋯⋯分かりました。⋯⋯⋯⋯い、一級、ですか?」


 「はい」


 「すみません。少々調べさせて頂きます」


 目の前でデータから取り出しているのに、偽物だと思われたのだろうか?

 少しばかり心外だが、まぁ仕方ないのだろう。


 俺も流石に情報を知らなさすぎると反省して、少しだけ調べたのだ。偉いだろ?

 その結果、一級がオークションに出されたのは日本では一度もないらしい。

 それだけ貴重という事だ。


 そんなモノを何十枚と所持している男がここに。いや、アバターは女か?

 まぁ、良いか。


 「すみませんお待たせしました」


 「いえいえ」


 奥で鑑定でもしたのかな? そのようなスキルがあった筈だ。

 外でスキルを使ったのか、データ世界に入って使ったのかは分からないけど。

 どっちにしろ、金が必要⋯⋯いや、後者の場合は必要ないんだっけ?


 ギルド内はデータ世界に限られた範囲は入れるような設計がされている。

 噂では、ギルド本部のマスターの『権能』らしい。『権利』ではなく『権能』。権利と権能の違いは知らん。

 神が主催したイベントの優勝特典として権能を貰い、ギルド内部では特定範囲はデータ世界になるらしい。


 前に武器とかを試した場所がソレに該当する。


 まぁ、そんな雑学はどうでも良く、とりあえず本物だと認めたらしい。

 オークションにはきちんと出してくれて、その売り上げの十パーセントがギルドの方に徴収されるらしい。

 一億の場合は九千万。


 「期間はどれくらいにしますか?」


 「どれくらいが良いんですか?」


 「そうですね。一級は何しろ初めてですからね。どうも⋯⋯」


 「あーじゃあ、今週の土曜日を最終日にしましょう」


 これならリアタイで最終結果が見れる。

 学校のある日は眠いからね。


 「分かりました。そのように手配します。その、連絡先と住所を⋯⋯」


 「あーはいはい」


 差し出されたタブレットに打ち込んで、終わりとなった。

 受け付けの人がそそくさと奥に向かったが、気にする事は出来ないだろう。

 俺は外に出た。


 「終わった?」


 「おう、完璧だった。ステータスの提示請求されなくて良かったよ」


 「その場合は断れば? 任意だし。偽装されるのが普通だから、ギルドも宛にしてないんでしょ」


 「そんなもんかね。⋯⋯こっちの支部でもかなり大きいし、本部ってかなり大きいんだろうな」


 「東京行くの?」


 「行かない」


 「ダンジョンは?」


 「行きたければ行ってこい。俺は帰って寝る」


 「そう。なら私も帰ろ。お義父さんに剣を教わりたいし」


 ちなみに俺も父に誘われたが、断った。

 そして、土曜日に世界を揺るがすニュースが一つ、日本を揺るがすニュースが一つ、報道される。

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