『これよりこの街はコード511、破滅プログラムへと移行します。　

　プログラムの変更にともないすべての密約、協定および覚え書きは破棄されます。

　あらゆる契約は真契約書に準じます。

　個人情報は厳密に保護され、本人の許可なく第三者に提供されることはありません。

　ただし、有事の際にはその限りではありません。

　ただいまよりこの街のすべての権限はアトラスAIに委ねられます。

　まもなくコード511を開始します。

　住民は安全を確保し、別の世界へ避難してください。

　まもなく起爆装置が作動します。

　住民はただちに別の世界へ避難してください』

　一際明るい閃光の後、世界は静寂に包まれた。

　一瞬の沈黙の後、世界の果てから鳴り響くような轟音とともに夜空に浮かび上がったのは巨大な稲妻。

　巨大な龍のようなそれは、触れれば命を落としかねないぞっとする美しさを纏いながら、深淵の街の上空を、蜘蛛の巣状の稲妻の中を、一瞬間に駆けていった。

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