(8)
夢洲の中央部に有るビル……そこ入ってみると……。
「あ……結局、来たのか……」
そこに居たのは、沙也加ちゃんのお兄ちゃんと彼氏(2人とも獣人形態に変身済み)。
そして、クソ女の親類(
「情報通り、上の方に……」
「探れってのなら、危険だ」
銀色の護国軍鬼に、そう答えたのは梵字が描かれたプロテクター付スーツの人。
「と言うと?」
「情報が本当なら……相手の能力は『邪視』。探知系の能力が暴走してる状態だ。こっちがアクティブ・センシングをやったら、すぐに気付かれて……その後、何が起きるか判ら……待て……」
「どうした?」
「何か妙だ……デカい気が2つ有る」
「どうなってる?」
「1つは暴走気味。もう1つは……達人級の奴だ……」
「やな予感がしてきたな……。そう言えば……肝心のアイツを目撃したって連絡は有ったか?」
「アイツ?」
「韓国のヤクザの大ボス。通称『熊おじさん』。東アジア最強の獣化能力者候補3人の内の1人で……気功武術の達人」
「そんなのまで……この建物内に居るって事か?」
「ハチ合わせしなきゃいいがな……。クソ、あいつが、ここに居てくれれば……」
「あいつでも無理だ。あいつの能力は中国の風水でいう龍脈の『気』を取り込むもの。浮島か埋立地かの違いは有っても、ここは『NEO Tokyo』と同じ人工の島だ。龍脈が生まれるとしても早くて数百年後あたりだろうな」
「お困りのようね……」
その時、別の声……。
「え……」
「う……嘘……」
そこに居たのは……佐伯漣……。広島を支配してるヤクザ達の裏ボスで……何か、とんでもない特異能力者らしい人。
それに……。
「あ〜、何、それ、久留米の御当地魔法少女『プリティ・トリニティ』のパクリじゃんッ‼」
あたしは、佐伯漣と一緒に居る3人の「魔法少女」のコスチュームを見て、そう言った。
巫女服をイメージしたデザイン。
コスチュームの、あっちこっちに揚羽蝶のアクセサリー。
違うのは、チームのシンボルマークが、久留米の水天宮の「椿」か、広島の厳島神社の「三つ盛り二重亀甲に剣花菱」かだけ。
「あのね。久留米のチームの方が後発なの。と言うか、『御当地魔法少女』の企画を作ってた『ローカル・マジカル』って会社が、デザインやコンセプトを丸ごと流用したの」
「あ……そ……」
「パクリって言うんなら、久留米の方がパクリ。と言うか、企画会社のセルフ・パクリだけど」
厳島の魔法少女チームのリーダー格が、そう説明する。
「ひょっとして、お前ら……魔法少女オタクの成れの果ての魔法少女?」
ファイアーパターンの
「何、その嫌そうな口調?」
「魔法オタク崩れの魔法使いには、ロクなの居ねえんだよ……」
「それは、そうと……何のつもりだ?」
護国軍鬼が、そう訊いた。
「『魔法使い』系じゃないと解決出来ない問題だから……魔法使い系の応援が要ると思ってね。この子達は、普通の『魔法少女』とは違って、ちゃんとした流派の訓練を受けさせてる。魔法少女をやめた後の再就職先も考えてるつもり。貴方達が作ろうとしてる『異能レスキュー隊』に似た組織を広島でもやるつもりなの」
「加勢してくれる代償は何だ? あんたの力を私が受け継げってのは断わるぞ。努力して得たモノじゃない力は性に合わないんでな」
「大した事じゃない。
「はあっ?」
「『魔法少女』と呼ばれてる
「なるほど……『大阪』は……一番ゲスな真似をやるつもりだって、証拠をつかんだのか……」
「ええ……私達は、ヤクザかも知れないけど、
「ところで、大麻は合法?」
突然、青い護国軍鬼が、そう訊いた。
「医者の処方箋が無いと駄目」
「……広島って、お堅いのね……」
「あ……あの……何を言って……?」
話についてけなくなったあたしは……そう訊いたが……。
「ヘルメットを脱いで、ゲロ袋を用意しろ。冗談抜きで吐き気がする話だぞ」
「えっ?」
「大阪側は……『
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